東カレ レストランオブザイヤー2015:審査員満場一致!『セララバアド』が受賞

本年度の掲載店は1000店舗越え。個性溢れる気鋭店、進化する名店、気を吐く老舗店などなど、この中から今年もっとも輝きを放ったレストランを決定しようというのが、この「RESTAURANT OF THE YEAR2015」企画。(第1回目はこちら!

膨大な店舗リストの中から、まっさきに『東京カレンダー』審査員たちが、受賞にふさわしいと決めたのがこの『セララバアド』だ。生き馬の目を抜くレストラン業界のなかで、もっとも際立つ個性溢れる料理たちを、今一度振り返ってみよう。

世界を狙えるガストロノミーが
東京で食べられる幸せ『セララバアド』

「落葉の森」。左からグリーンアスパラガス、豚足や豚耳で作ったコロッケの黒トリュフ仕立て、ピザ生地でできた豚、銀杏。そして一見巨峰のように見えるのはフォアグラと鶏のムース、中に凍らせたポルト酒を忍ばせている。一番右は赤スグリで土のように見えるのは黒オリーブのペースト

『セララバアド』。このユニークな店名は、宮沢賢治の童話「学者アラムハラドの見た着物」にちなんで名づけたものだ。

「セララバアドという名前の登場人物がいるのですが、この物語全体に流れている誠実さが、昔からとても気に入っているんです」実直な口ぶりで、物静かに語るのは、オーナーシェフの橋本宏一氏、その人だ。

「森の朝」。森のエッセンスを表現した一皿。料理は全て秋の森をイメージしたコースから

氏が当店で腕を振るうのは”分子ガストロノミー”。これは科学の視点から、食材と調理方法を考える科学的学門分野だ。この分野でのパイオニア的存在、『エル・ブリ』のフェラン・アドリアシェフ、そして世界ナンバーワンレストランの座についた『ノマ』のレネ・レゼッピシェフ、このふたりのもとで研修をしてきた。

その経験と自らの自然への敬愛を紡いだレストランを、今年の1月、代々木上原の閑静な住宅街の一角にようやくオープンした。「ごく一部の人にしか経験できなかった分子ガストロノミーの世界を、もっとカジュアルな形で、より多くの人に楽しんでもらえるような場所を作りたいと思っていたんです」。

「スモーク 野菜の涙」。野菜の涙とは赤ピーマンと玉ねぎをじっくりローストした際に出るエキス。ガラス瓶の中にはスモークの煙と帆立入り

確かにコース¥7,800の価格設定は、この手の料理を出すレストランとしては破格だろう。加えて、木の質感を生かし、緑をふんだんに取り入れた北欧風のアットホームな空間からも、その思いは十分汲みとれる。

そして何よりも橋本シェフのソフトな人柄が、ともすれば尖鋭的になりがちなレストランの空気を和らげている。これまでは、高級レストランでしか味わえなかった“分子ガストロノミー”の裾野を広げる……。この店の存在意義のひとつは、まさにそこにある、と言っては言いすぎだろうか?

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