スペイン人親子シェフに聞いた「ここが変だよ日本のバル」

『アロセリア サル イ アモール』。の「チョリソ、豚耳、豚足のパエリア」(二人分※通常はパエリアパンでの提供)

ブレない軸を持つまっとうバルを見極めて

【息子・ビクトル】メニューにパスタやカルパッチョがあったり……。需要はあるかもしれないけど、何だか「軸」がブレてる気がする。
何もかもスペインと同じが正解ではないし、レシピを解釈して発展させることは必要だけど、食文化の真髄や、それが生まれた背景を理解していたら、まずブレることはないと思う。
逆に、全然聞いたことないような名前の郷土料理とかがあると「おっ!やる気だな」とか思っちゃうけど(笑)。

【父・ビセンテ】伝える力とサービス力不足が問題。この店にも、スペイン料理は初めてのお客さんはたくさんいらっしゃる。
だからプロとして、より美味しく楽しむためのヒントやアドバイスができなきゃいけないんだ。求められるがまま、メニューを変えていたら軸はブレる。

でも、お客さんは素人じゃない。
うちは水割りやウーロン茶は置いていないんだけど、それはスペイン料理には合わないから。きちんと伝えれば理解してくれる。
もちろん、楽しんでもらう場所だから、伝え方も大事。レシピだけじゃなく、ほほえみとか気配りという調味料がないと!

土壁にラ・マンチャ地方の伝統的な装飾を施したタラベラ陶器

【息子・ビクトル】それで「美味しい」って感動してくれたら、お客さんはまた来てくれる。通ってもらえる店であり続けたいよね。
僕たち現場の人間が、バルをブームで終わらせないように、伝える努力をもっとしないと、スペインの食文化への理解は深められないってことだね。

【父・ビセンテ】その通り、まだまだ努力が必要だよ。こういう風に、真摯な姿勢を持つバルを評価して、もっとスペイン料理を知ってもらいたい。

【息子・ビクトル】うわぁ、何だか今日は思いっきりエラそうに言っちゃったなぁ!「あの若造ナマイキ!」って思われそう……(笑)。

【父・ビセンテ】思われたっていいんだよ!スペインの食のために怒っているんだから。わたしはまだまだ、いくらでも怒り続けるよ!

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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