さんま、なす、松茸、秋の味覚が満載!しみじみ旨い和食店8選

暦ごとに楽しみが待つ四季を感じる和の名店『麻布 幸村』

麻布で満喫できる京の味―。2000年の創業時より、そう賞賛され続ける店がある。開店以来、東京の美食家のみならず、本場・京都からも足を向ける通人酔客が後を絶たない麻布十番きっての名店『幸村』。

ご主人・幸村純氏の確固たる料理理念と美学に裏打ちされたその料理は、京料理の伝統はきっちり踏襲しつつも、素材へのアプローチや独自のアレンジ、コースの流れに感じるセンスの良さが何といっても魅力だろう。

冬は丹後の間人蟹、春には花山椒と牛肉のしゃぶしゃぶなど、四季折々の旬の味を前面に打ち出した料理は、いずれも食材を大胆かつ精妙に仕上げたものばかりだ。

9月中旬から登場する秋のスペシャリテ、通称“鱧松焼”もそのひとつ。肉厚の鱧で松茸を包み、炭火で焼き上げるこの逸品は、味付けも塩のみといたってシンプル。

それだけに、周りはカリッと香ばしく、中は松茸のエキス溢れるジューシーな仕上がりにするには、熟練の技と勘がものをいう。一期一会の食材の質、炭の按配などを見極めて常に一定の味を維持するのは想像以上に難しい。

「普通の料理をきちんと美味しく作ることが大切」。このひと言に不動の人気の所以がある。

鱧松茸の小鍋仕立て

素材が引き立つ香り高い馥郁たるスープ
『割烹 喜作』

まず、森の香り。赤松の木々の根元で育ったんだなぁという清々しい香りが、グツグツ煮え立つ出汁の中でどんどん膨らんでいく。鰹と昆布の一番出汁に鱧の、そして松茸のエキスが溶けている。ああ、だから“鱧松茸”なのか。馥郁たるスープが喉を温かく通り過ぎていく時、納得せずにはいられない。

『割烹 喜作』主人、森義明氏は秋のこのひと品のために陶芸家、岡晋吾氏に器を特注した。焼きっぱなしの素焼きの器は極めてシンプルなこの料理への森氏の思いを代弁する。「スダチ? 必要ないですよ。ハモマツだから鱧と松茸だけで十分でしょう」と。刃で切らず、カサにちょんと包丁目を入れ、手で裂くことで断面から松茸の香りを目一杯引き出す。他の素材を足すでもなく、引くでもなく、ほんの少し手を添えるだけ。森氏が目指すのは古くも新しくもない、王道をゆく日本料理である。コースのひと品。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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