SPECIAL TALK Vol.1

~やりたいことがあれば、リスクをとって挑む。チャレンジすることで成長できる~

恵まれない仕事だからこそ逆境が必ずチャンスを生む

金丸:しかも、三菱商事に就職してからも、思うようにいきませんでしたね。三菱商事ならすぐに海外に行けると思ったのに(笑)。

新浪:そうなんです。入社前に、アタッシェケースまで買っていたんですが(笑)。3万円だったと思います。結局3年間、まったく使うことがありませんでした。

金丸:おまけに、思ってもみないセクションに配属されて。

新浪:砂糖部です。社内でも、もっとも儲かっていないセクションのひとつで、配属が決まったとき、同期にこう言われたんです。お前のサラリーマン人生も決まったな、と。年間でかなりの額にのぼる損失を部で出してましたからね。

金丸:でも、そこで頑張ったわけですね。

新浪:初めての出張は憧れのアメリカではなく、中国でした。中国に砂糖を売りに行ったのです。1月の北京はもう寒くて。コートがなく、その上タクシーもつかまらず。凍え死ぬかと思ったのを覚えています。3年前に買ったアタッシェケースを握りしめて(笑)。その仕事で、僕は三菱商事の歴史で初めて、砂糖の商売として中国との取引で利益を出すんです。

金丸:どうして儲かったんですか。

新浪:当時の中国のひとり当たり砂糖消費量は、日本の10分の1だったんです。いくらなんでも、これは少な過ぎる。おかしい。絶対に伸びると思って、可能性をベースにビジネスを組み立てたんですね。そうしたら、その通りになりました。

金丸:結局、周りと比較して、恵まれない仕事や環境は、実はだいたいにおいて良い方にいくんですよね。
僕も同期70人のうち、たったひとりだけ現場に出されて。しかも、全国の営業所で最南端で最小の熊本営業所。歓迎会を開いてもらったんですが、酔った先輩がいきなり泣き出すわけです。入社していきなり会社人生が終わるなんて、なんて気の毒なんだ。お前は何かやらかしたのか、と。

これは脱出しなければいけない、と本社から幹部が出張に来る度に、ホテルまで送る役を買って出た。それで、寝る前に一杯どうですか、と誘って。東京に呼んでください、いろんな仕事をやります、みんなが嫌がる仕事もお任せください、と。

新浪:アピールしたわけですね。

金丸:すると、社運をかけたプロジェクトが浮上して、社長が幹部にこう言ったそうなんです。イキのいい若手を入れろ、と。幹部は現場と離れていますから、若手の名前なんて知らない。唯一、浮かんだのは、遠い熊本で記憶に残っていた僕だった。

新浪:逆境が必ずチャンスを生む。新しいリーダーたちにぜひ伝えたいですね。

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