ライブ感がたまらない!カウンターこそ華席な和食店5選

深く心に刻まれる店主との温かくも濃密な時間
『晴山』

語り口は明朗快活。しかし、ひと度包丁を握れば“実直”のひと言が所作より滲み出る。カウンターで目にする、店主の立ち居振る舞いは実に眩しい。

「料理が美味しいのはもちろんですが、気持ち良く食べていただく空間を作るのも、料理人の大切な仕事。楽しんでいただいてなんぼだと思っています」

山本晴彦氏は岐阜で全国に名を馳せる日本料理店『たか田 八祥』の出身。学んでいたのは東京にある調理師学校だったが、そこで特別講師として来校していた高田晴之氏と出会い、卒業後は迷わず岐阜に向かった。

「元々は東京での修業を考えていましたが、高田さんの全てを吸収したいと思いまして……」

食材の扱い、出汁といった基本だけでなく山本氏が感銘を受けたのは日本料理の範疇にとらわれず様々な食材を使って、本来の旨さを引き出す、師の柔軟性。

懐石料理を座敷で供す本店のほか、カウンターもあってよりカジュアルなふたつの支店では店長も務め、 12年に及ぶ時を過ごした。『晴山』の開店は2011年6月。30歳になるまで、とことん修業し、東京で独立。これは当初から思い描いてきた道だ。

「カウンターは絶対条件でした。お客様と常に密に接していたかったですし、美味しいという反応が直に感じられるから」

すでに連日盛況。しかし、訪れれば誰もが室内に漂う空気感と供される料理に、訳を見出す。

「素材を第一に、日本料理の枠を外さず、驚きを表現したい」。志と技を賭して。氏の料理人人生はまだ始まったばかりだ。

平目の造り。コースの一例。厚めに切っているため、食感も楽しめる。まずは塩で食したい

のど黒の幽庵焼き。コースの一例。松葉銀杏、新蓮根の照り焼きのほか、レモン釜に盛り付けたのは新イクラの鮨。明治時代の作という織部に、美しく映える

ガラス張りでオープンな印象の厨房には炭火の焼き台が。丁寧に香ばしく仕上げるから焼物も旨い

カウンター以外に、広いテーブルスペースも店内最奥部に用意。さらに4名で利用可能な個室も

帆立の真丈と焼き茄子、天然車海老の椀。コースの一例。帆立の風味を凝縮した真丈が見事。素材の本来を活かす技を実感する

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