シチジュウニコウ

しち十二候

日本料理が育んできた季節の本来を次世代へ伝える気概。

AKIO SAITO 茶懐石の老舗で研鑽を積んだ後、複数の店で料理長に。グランドハイアット東京など、日本料理・総括料理長を歴任し、今年5月に独立。

ありのままの自然を受け入れる。人と自然の共生は昨今喧しく叫ばれることのひとつだが、ここに日本料理の在り方からその関係性を深く考えた料理人がいる。

ホテル時代、ずっと『今月のお献立』と言い続けてきながら「1カ月も同じ質を保つ食材は、そうないのに」と思っていた。齋藤章雄氏はこの道30年以上。コンラッド東京では日本料理・総括料理長まで務めた人物で今年5月、徐々に移ろう季節を伝えるべく独立した。

「ある農家さんが作る大根は10日、この茄子は1週間、それが野菜の本来。無理なく少しずつ仕入れを替え、その日の献立を作る。そういう仕事がしたかった」

七十二候とは季節を表す二十四節気を初候、次候、末候とさらに分けた暦のこと。つまり、およそ5日ごとに72の候が巡って1年となる。七を平仮名にしたのは「漢字だと最近の方は“なな”ってお読みになるから」と笑う齋藤氏。

長く日本料理と向き合ってきたゆえ、その思いは熱い。競うように素材の“走り”を仕入れる風潮に対しては「逆に季節を台無しにしてしまっているかも」と言い、全否定する気はないと断りつつ大量生産と大量消費を前提にした結果、消えていく野菜や果物があることも危惧している。醤油やみりんなどの調味料も「毎年の出来にブレがあって当たり前。自然相手の発酵食品ですから」と言うのだ。

「この店が農家や醸造家、あるいは陶芸家の発表の場になればいい」

自らの使命感を発露する新天地で、齋藤氏は人が自然を享受する、日本料理の本来を、明日に繋ぐ。

右.コースを供するが、奥のテーブル席ではアラカルトも用意する 左上.入ると長いアプローチが続く 左下.座敷のほか、テーブル個室もあり、全4室を用意する

右.強肴。この日は隠岐牛の漬け揚げ。料理はすべて¥13,650コースの一例 左上.凌ぎは酢飯に伊勢三年沢庵を混ぜた鱧手巻き鮨 左下.御椀。炙り甘鯛とトマト麩に針独活などをあしらう


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