予約が取れなくなるレストラン 【新時代の若手】編 Vol.8

チャワンブ

ちゃわんぶ

鼻っ柱の強さとほどよい迷い無頼派の味と「格闘」する愉悦。

TSUYOSHI BUZAWA ’77年神奈川県生まれ。調理師学校卒業後、銀座、新橋、八重洲の日本料理店で修業。一時のブランクを経て’10年『ちゃわんぶ』開業。

店は、人で選ぶ。旨さも居心地も自分が基準。こんな時代だからこそ、本能に忠実でいたい。素材を捌く時、鍋を覗く時、渦中に身を投げるのでないかと見まごう焦りにも似た真摯な姿を想像させる、そんな料理人が好きだ。普段は、おくびにも出さない癖に。

荒木町に不思議な店を見つけた。街に馴染んだふぐ料理店の居抜きに、丸顔の若い大将。料理はおまかせコースのみ、場所柄、時節柄、くだけた内容かと思いきや、凛として筋を通す味がする。

店主は武澤剛志氏。18歳で修業に入り、名だたる日本料理店で働くも鼻っ柱は人一倍。やんちゃも盛大、悪さがたたり、その後始末に夜の街に身を投じる。ナンバー1を奪取して身綺麗になり向かった先は、西麻布。ここでも一悶着、再度夜の世界で開業資金を貯めた。包丁を持たぬ期間は通算2年。だが、降りる選択肢はどこにもなかった。日本料理人として店を持つ。迷いはぽっちりともなかった。

修業も人間関係も厳しい日本料理の世界。「身から出た錆がありすぎて」誰の手も借りずに開業し、自信を得た日もあれば、へこんだ夜も。料理は旬と瞬発力を信条とし、時間を味方につける調理はしない。その場で組み立てる緊張感と、鋭敏な味の組み合わせが持ち味。とはいえ常に思うままとはいかぬ。それらすべてが、この店の味。悩み、ぶつかり、また育つ。未だ発展途上、未完の大器をご覧じろ。

右.丸茄子と丸の竜立揚、丸の出汁の餡で。素材の味をつなげるのはしょうがの味。以下、料理はすべて¥10,000のコースより 左.モルトウイスキー。お客に同好の士を求めたが意外に反応が薄いと笑う

右.時々女将が手伝う他は、ひとりで 左.酒器にも遊び心

右.山形牛のヒレカツ。常にA5ランクの3歳雌牛を使用 左.前菜。稚鮎の山椒煮、金錦衣と鯖ずし、蛇腹胡瓜の糠味噌漬けなどの盛り合わせ


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