SPECIAL TALK Vol.103

~個人の適性に見合った教育で日本の変革を目指したい~

令和のニューリーダーたちへ


2018年4月、日本の大学で初めてのアフリカ系学長が誕生した。アフリカのマリ共和国で生まれ、中国への留学を経て来日したウスビ・サコ氏だ。

京都大学大学院で学び、京都精華大学の教員となり、学部長を務めたのち学長へ。

4年の任期の間に女性や外国人の教員採用に積極的に取り組み、教職員を巻き込んで大学の魅力の発掘と存在意義の再定義を行い、情報発信にも力を入れた。

また、コロナ禍によって孤立する学生たちのために、あえて対面授業を採用し、学生が集える場所を提供し続けた。

結果、定員の6割まで落ち込んでいた学生数は100%近くに回復し、留学生の比率も10%から30%近くに上昇した。

来日して30年以上になるサコ氏から見た現代日本の課題と、その突破口を探る。

ウスビ・サコ氏 1966年、マリ共和国生まれ。高校卒業と同時に国の奨学金を得て中国に留学。北京語言大学、南京東南大学を経て91年来日。99年、京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。専門は空間人類学。「京都の町家再生」「コミュニティ再生」など社会と建築の関係性をさまざまな角度から調査研究している。バンバラ語、英語、フランス語、中国語、関西弁を操るマルチリンガル。京都精華大学人文学部教員、学部長を経て2018年4月から2022年3月まで、京都精華大学学長を務める。


金丸:本日はウスビ・サコさんをお招きしました。お忙しい中、ありがとうございます。

サコ:こちらこそ、お呼びいただき光栄です。

金丸:本日の対談の舞台は昨年オープンした南青山の『JINBO MINAMI AOYAMA』です。腕を振るうのは、野菜の魔術師とも呼ばれる神保佳永シェフ。日本の食材をイタリアの伝統的技術によって昇華した料理をいただけるそうです。

サコ:それは楽しみです。

金丸:サコさんは昨年まで、京都精華大学の学長を務めていらっしゃいました。日本の大学における初のアフリカ系学長ということで、話題になりましたね。

サコ:そうですね。私が学長になったのが2018年4月ですが、それ以降、ほかの大学でアフリカ系の学長就任という話は聞こえてきません。ちょっと残念ですが。

金丸:任期満了で学長を退任された後も、京都精華大学の教授でいらっしゃるんですよね。

サコ:はい。それに何かと声をかけてもらう機会が増えて、いろいろな組織のメンバーになり、最近は学長をしていたときよりもバタバタしているように感じます(笑)。

金丸:サコさんは貫禄があって圧倒されますが、56歳なのですね。午年ですか?実は、私もなんです。

サコ:はい。しかも、私は丙午(干支の中でも、さまざまな迷信が言われている年)なので特別です(笑)。

金丸:「丙午」という単語をサコさんから聞くとは(笑)。今日はサコさんの生い立ちからじっくりとお話を伺い、サコさんの目を通じて、日本が抱える課題やその突破口を探りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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