SPECIAL TALK Vol.100

~違う自分に会いたいからこそ積み上げたものを崩し、新境地を目指す~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。1989年起業、代表取締役就任。


代名詞だった髪と別れ。次のステップへ


金丸:ところで、さっきもおっしゃった、長い髪をかきあげる仕草は中村さんの代名詞でしたけど、ばっさりと髪を切られましたね。

中村:『着飾る恋には理由があって』というドラマの役作りの一貫です。演出の塚原あゆ子さんから「今度のドラマでアーティストの卵という設定の役があって、髪の短い子がいいんだけど、もしかして、切ったりしないよね?」って言われたんです。

金丸:それで切っちゃったんですね。髪って、イメージに相当な影響があるじゃないですか。すごい決断ですね。

中村:塚原さんとはドラマ『グランメゾン東京』の演出でお会いして以来、絶大な信頼を置いているんです。『着飾る恋には理由があって』でも塚原さんの役に対するイメージがかなり具体的で納得したというのもありましたし、どこかで切りたいなとも思っていたんです。

金丸:それはまた、どうして?

中村:デビューの頃からずっと、長い髪にワンピースで「誰だ、あの娘?」っていう感じを印象づけてきたのが私でした。『東京カレンダー』の表紙も、そのイメージがあるからいただけた仕事だし、私のスタイルを真似してくれる女の子もいた。それはそれでうれしいんですけど……。

金丸:自分の殻を破りたくなったんですか?

中村:そうですね。パブリックイメージが20代からまったく変わらないままであることがだんだんしんどくなってきたんです。それに、俳優として仕事をするときに「あ、いつもの中村アンだ」って思われるのは、やっぱり悔しいです。

金丸:なるほど。世の中に認知してもらうにはよかったけど、そのイメージが強過ぎると、何をしても「あの中村アン」としてしか見てもらえないということですね。

中村:これまでのスタイルでやることは十分やりつくしたと感じていました。そこからどうやって次のステップに行くかを考えると、「役のために切る」のがベストだなと思っていました。だから声をかけてもらったときは「きたー!」って感じでしたね(笑)。

金丸:渡りに船だったんですね。だけど、あれだけ長い髪をバッサリ切るとなると失敗もできないでしょうからいろいろな準備も必要ですよね。

中村:仰るとおり。まずはウィッグで役のイメージと重ね合わせながら髪型を決めて、切ってもらったのは20代の頃からお世話になっている美容師さんでした。

金丸:一大プロジェクトですね。

中村:あの長い髪は自分にとって、誇りでもありましたけど、迷いはなかったです。髪が削ぎ落とされていくのを見て、「ああ、気持ちいい」みたいな清々しい気分になりました。

金丸:「これから中村アンは進化するぞ」という感じですか?

中村:進化しつつ大きく変化したいですね。「違う自分に会いたい」という気持ちがすごく強かったです。私、変化を恐れないタイプなんです。

金丸:力強い。変化した先に何があるかわからなくて、一歩を踏み出せない人もいます。

中村:20代では仕事をいただくために、目の前のことをがむしゃらにやっていれば怖いものはありませんでした。だけど、30代になって、歳を重ねるにつれて、いろいろな世界を見て、学んでいくことで、考え悩むことや揺れ動くことも増えたんです。

金丸:若くて無理がきくからできることもあれば、経験があるからできることもありますよね。

中村:そうなんです。これまで以上に出会った人を大切にしたいという気持ちがどんどん強くなってきたし、最近になって、ようやく肩の力を抜けるようになったことで、30代がすごく楽しいと思えるようになったんです。

金丸:中村アンはこれからもバージョンアップするんですね。

中村:ここから5年がまた自分の幅を広げるための勝負かなと思っているので、40代ではまた違う私を、皆さんに全力で示せたらいいなって。これからの中村アンも、ぜひご注目ください!

金丸:中村さんがこれからもご活躍されるのを期待していますし、『東京カレンダー』も引き続きよろしくお願いします(笑)。今日は本当にありがとうございました。

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