ハッピーエンドの行く先は Vol.1

ハッピーエンドの行く先は:絶対に家へ招いてくれない彼。不審に思った女が、自宅に突撃した結果…

「2人は、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし」

…本当に、そうでしょうか?

今宵、その先を語りましょう。

これは「めでたし、めでたし」から始まる、ほろ苦いラブ・ストーリー。


Episode1:いつまでも自宅にあがらせてくれない彼氏


「美沙、愛してる」

六本木にある、ラグジュアリーホテルの一室。私は恋人・隆志の胸に顔をうずめながら、ベッドの上で幸せをかみ締めていた。

「うん。私も」

その言葉に彼は満足げに微笑み、私の髪を優しく撫でてくる。

「ねえ隆志。…今度、お部屋に行ってもいい?」

「あぁ、もちろん。もう少し仕事が落ち着いたらね」



彼との出会いは3ヶ月前。書店で文庫化された恋愛小説を立ち読みしていた私に、突然声をかけてきたのが隆志だった。

「その小説、好きなん?僕も好きやねん」

聞き慣れない関西弁に思わず振り向く。そこにはタキシード姿の彼が立っていたのだ。

最初は新手のナンパかと思ったが、彼の端正な顔立ちと大きな目に、思わず運命を感じてしまった私。そして求められるがまま連絡先を交換した。

「美沙さん、僕と付き合ってくれませんか?」

こうして3回目のデートをした後に告白され、私たちは付き合うことになったのだ。



「じゃあ、俺はそろそろ。美沙は仕事までゆっくりしててな」

午前6時前。ベッドサイドの時計にチラリと目をやった隆志は、私の頬にキスをする。そして床に落ちたスーツを拾い上げ、帰り支度を始めた。

バタンとドアが閉まる鈍い音とともに私は1人、部屋に取り残されてしまう。

その瞬間、涙が溢れてきた。彼はいつもこうやって「仕事に戻る」と言って、早朝に帰宅するのだ。

― おかしい。私、騙されてるのかな。

でも怖くて、本当のことなんて聞けるはずがない。…そのときだった。ベッドサイドに何かが落ちているのを見つけたのは。

「あれ…。隆志の免許証だ」

私はそれを拾い上げると同時に、ある作戦を思いついたのだった。

この記事へのコメント

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六本木のラグジュアリーホテルってリッツとかグランドハイアットだよね。その一室って結構な値段すると思うんだけど、それは彼が見栄はって出してたってこと? 今時ポストにフルネーム書くボロアパートがあるのかは知らないけれど、そこに住むような人がデートで毎回ホテル代払えたのかな〜。
2022/10/11 05:3288返信1件
No Name
何だかよく分からなかった。 仕事何やってるかきちんと聞く前にLINEのフルネームで勝手に調べて勝手に間違えて…。なら美沙がバカだだっただけ?まぁ隆士もプロデューサー高橋隆志を見せたら否定しなかったのも悪いけど。
2022/10/11 05:2970返信1件
No Name
タイトル見て、これは”既婚者” と思わせておいてその期待を裏切るストーリーだなとすぐわかったけれど…
鈍臭い世間知らずなお嬢様が勘違いしただけよね。
2022/10/11 05:3640返信2件
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