港区今昔物語 Vol.1

港区今昔物語:同棲中の彼にフラれ、婚活市場へと舞い戻った33歳女。そこで直面した残酷な現実とは

一緒に食事会へ行く仲間がいない…!?


裕二と別れた翌週。私は友人の美穂とともに、グランドハイアットの『オーク ドア』でランチをしていた。

彼女は港区での遊び方を教えてくれた人であり、戦友でもある。出身地も大学も違うし、年齢も1つ年上だけれど気が合うのだ。

実際、20代後半の週末はずっと一緒に過ごしてきた。美穂と参加した食事会は、まさに星の数ほどある。

「…ということで、誰かいない?今、大至急で彼氏募集中なのよ」

大きな窓から心地よい風が吹いてくる。そんな彼女の隣には、昨年生まれたばかりの凛ちゃんがベビーカーの中でスヤスヤと寝ていた。


「そう言われてもねぇ…。ご存じの通り、今は子育てが忙しくて飲みになんて行けてないし」

それはそうだろう。凛ちゃんはまだ生後6ヶ月で、手がかかる時期。それに美穂は、毎週末飲み歩いていたとは思えないほど、もう立派なママになってしまったのだ。

「美穂はいいよね、素敵な夫をゲットできてさ」
「まぁね。でもあの食事会、沙羅も一緒にいたじゃない」

彼女は羽振りがいいことで有名な、20歳も上のおじさんと結婚した。

今日もベビーカーには無造作にエルメスのケリーがかかっていて、指にはハリーウィンストンの大きな指輪が光っている。

「いいなぁ…」
「でも裕二さん、突然どうしたんだろうね。沙羅と裕二さんも、結婚するかと思ってたのに」
「それは私も思ってたよ~」

結局、フラれた理由もよくわからない。ただ単に愛情がなくなったのか、他に好きな人でもできたのか…。聞きたいけれど聞けない自分がいる。

「沙羅はスタイルも抜群だし、美人だし。また婚活市場に戻っても余裕でしょ!」

実は美穂の言葉に、まんざらでもない自分がいた。

身長163cmで、細身。脚が綺麗だと褒められることも多いし、美人だと言われてきた。Instagramに投稿する度に「お綺麗ですね」とか「美人すぎて憧れです」といったコメントがつく。

「さすがに、美穂を飲みの場に連れて行くわけにはいかないもんね…」
「行きたいけど、今は無理かなぁ。他に誰かいないの?一緒に夜遊びできる女友達」

いることにはいるけれど…。気づけばこの自粛期間中に、みんな結婚していた。そして既婚者の友達には、子どもができていた。

未婚率の上昇や少子化のニュースを疑ってしまうくらい、アラウンド35の女たちを取り巻く環境は、急激に変化していたのだ。


― あれっ。私、夜に遊んでくれる友達いなくない?

みんな家に入り、子どもができ、夜遊びできる友達はいつの間にか消えている。愕然としていると、見兼ねた美穂がスマホを必死にスクロールしてくれていた。

「沙羅。この子と連絡取ってみたら?私たちより8歳くらい年下だった気もするけど…。まだ現役で遊んでるはず!顔も広いし、いい子だよ」

そう言うと、彼女は萌ちゃんという可愛い女の子を繋げてくれた。

そして翌週には、萌ちゃん主催のお食事会へ行けることになったのだ。…けれどもそこに参加した私は、完全に“浦島太郎”状態だった。

この記事へのコメント

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No Name
大急ぎで、今住んでいる所と同じ広さ家を持っていて同棲可能な彼氏を見つけなくては!と思うところがまず間違っていると思う。
あのキューティーのように、自分の借りられる範囲で6畳一間のボロ家とか賃りて、派遣でも何でも始めた方が良くない?
2022/08/08 05:2999+返信6件
No Name
アルコールは苦手とか気分が乗らない時はあえて飲まなくていいと思うけれど。その時シャンパンが飲みたいなら別にいいんじゃないの?
グラスであったかな?って、この男もケチくさいなぁ。シャンパン頼んじゃ悪いのかよってね。
沙羅、頑張れ!
2022/08/08 05:3569返信6件
No Name
港区に出戻りするより、アプリ(相談所はお金が無さそうなので) で探した方が早と思う。美人で肌も綺麗、更に美脚の持ち主ならすぐみつかると思う...。
来週はハイブランドのバッグをバカにされる展開かな?嫌な思いをしてまでお食事会に行くことないのにねぇ。
2022/08/08 05:4554返信1件
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