出汁が染みる…!おでんが恋しい季節 Vol.3

銀座で愛され続ける老舗おでんを徹底解剖!冷え込む夜に味わいたい名店2軒

銀座で長年愛される名店には、なるほどと思わせるだけの理由がある。

身体が芯から冷え込むこの季節は、そんな名店で、出汁の旨みをじっくり味わいたい。

銀座に居を構え、35年以上にわたって人々に愛される老舗のおでん店を2軒ご紹介しよう。



※まん延防止等重点措置期間中につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。

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1.銀座の大衆おでん屋『お多幸』では、VIPも若者もみんなが平等


温かなおでんを目がけ、黒塗りのクルマが横付けする。降りてくるのは有名企業の大社長。

かと思えば、ほろ酔いの若手たちが扉から出てくるなんてことも。

1948年の開店以来、銀座のこの店にはさまざまな人々が行き交い、誰もが同じようにただお酒とおでんを楽しんだ。どんな有名人もここでは大衆のひとりだから扱いに差はない。

そんな空気感が揺るがないのは、おでんはあくまで庶民のご馳走だというスタンスが根底にあるから。

銀座の並木通りに灯る赤い提灯が目印。店名は創業者の太田コウ氏の名前と、「幸多かれ」という意味が込められている。丸みのある江戸文字が、到着した者の心をゆるめる


並んででも食べたい!大衆おでんの魅力ここにあり


夜6時になればすでに長蛇の列。カウンターのある1階席は予約をとっていないため、どんな肩書きでも平等に並ばないといけない。

それでもここ、『お多幸 銀座八丁目店』に入りたいのは、旨いおでんと酒と活気がそろう店だから。

その気の置けない雰囲気には、誰もが惹かれるのだ。



歴史を辿ると、本店は創業大正12年。醤油味の関東おでんを牽引する同店が暖簾分けしたうちのひとつが、銀座八丁目店である。

昭和27年の開店当初から、おでんだしの決め手は企業秘密の混合醤油。鰹、昆布と鶏ガラの出汁にその醤油を混ぜたものを継ぎ足しながら、味を守っている。

深みはありながらも後味はすっきりしたおでんだしは、多くの常連を集めている。

大正から変わらない出汁の濃さが物語る、関東おでんの歴史

定番人気の大根、豆腐、たまご。豆腐は築地の『小林豆腐店』に出汁がほどよく染みて硬くならない木綿と絹の中間を作ってもらっている。たまご230円、豆腐と大根は330円という気軽さ


特徴的なのはロングカウンターで、最大25席設けていた時代もあった。

肩がぶつかる距離感に、「狭くてもいいから食べさせてくれ」と言う人がいたり、かつてはSPを待機させておでんを食べる政治家もいたというから、エピソードに事欠かない。

多様な人が隣り合う大衆ムードは今も健在である。

100年近く愛され続ける理由は親しみ深い上質さ


錫のチロリで温めるお燗の「菊正宗」。

要望があれば地酒を温めることもできる。490円。


右はうずらの卵が入った鶏挽肉と玉ねぎの焼売(330円)。

左はこしょうがピリリと効いた豚挽肉のキャベツ巻き(430円)。個性が光る人気商品だ。


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20席分はあるロングカウンター。予約不可だが、3階席は4名以上であれば予約可。


創業1688年の『神茂』の手取り半ぺん。

ヨシキリ鮫とアオ鮫を丁寧にすり上げ、空気を含ませ軟らかく仕上げている。530円。

おでんは230円~で約32種を用意。客単価平均4,000円と手ごろで、食事の前後にちょいと一杯飲みに来る人もいる


おでんだねの名物は黒こしょうが効いた自家製キャベツ巻きや『日本橋 神茂』の手取り半ぺん。

外面が薄衣のように茶色くなった半ぺんは、食べればふわふわのすり身と醤油の風味が相性抜群。半ぺんがとろける瞬間はとても贅沢だ。

大衆的でありながら大人を満たす洗練さも潜めているから、銀座の老舗はやめられない。

おでんのお土産を、自宅でも味わえる!


お土産のおでんは赤い缶に詰められる。選べるたねは26種と選択肢が広い。

単品価格は基本的に店内と同じ。おまかせ詰め合わせもあり7~8品 2,000円~、容器代400円。

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