休日は遠征して「天ぷらの聖地」へ!食材の旨味を凝縮した究極の天ぷらに感涙

「麻機蓮根」は揚げる直前に土を落とし、澱粉を溶かすように高温で揚げている。噛んだ瞬間に大地の香りが広がる


店内にBGMはなく、客の感嘆がただただ響く。

“成生”の天ぷらにしかない長く綺麗な余韻に浸り、食べ手がゾーンに入る状態もしばしば。そして、食後は茶室に移動して静岡の煎茶でフィナーレ。

タクシーを待つ間に庭へ出れば、池が鏡となりもうひとつの庭を映す。

天ぷらが生んだ静岡の桃源郷は、一度訪れたら忘れられない食体験を心に刻む。

熟成された「南瓜」の色と味の濃厚さは、天ぷら技術の極み


2ヶ月熟成させた北海道産の「南瓜」。

加熱で出る糖分が衣に引っかかることを利用し、油の上で転がすことでキャラメリゼしている。

「おこぜ」のプルっとしたゼラチンの食感は唯一無二


八分揚げで油から出し、余熱で仕上げた「おこぜ」。

筋肉質の身がジューシーさを含む繊細な食べ心地に変貌。

薪と土鍋で炊き上げる地元の米の力強さに驚く!


海老、三つ葉、蓮根の「天ばら」。

大粒で粘りが少ない藤枝産の米を薪で炊き上げる。

コース 22,000円、ペアリング 15,000円(目安)

なぜ、“成生”の天ぷらは人々を引きつけるのか?

毎年マイナーチェンジしている天然鰻の天ぷら。衣に歯を入れると、清らかな鰻の香りが口内に充満。骨も皮も身と一体化した柔らかさで、繊細な舌触りと滋味深さが脳裏に残る


「天ぷらはめちゃくちゃ面白いんです」

揚げ続けて15年になる志村剛生さん。この言葉に、弩級の旨さの理由が集約されている。

志村さんにとって天ぷらは万能の調理法。揚げると同時に蒸すことも焼くこともできて、衣のキャラメリゼまで可能。

自由で遊びが効く調理が、楽しくて仕方ない。

衣の気泡、油の温度、揚げる秒数など無限の組み合わせを駆使して、美味しさの頂を目指している。


席に腰をおろすと、スクリーンのような大きな窓越しに室町時代から続く庭園を望む。

四季ごとに移り変わる木々の表情も感じられて、池の鮎を食べにきたサギを目にすることも。



東京の食通たちがはるばる遠征してまで、この究極の天ぷらを求めて静岡までやってくる。

これ以上ないほどの贅沢なひとときが、ここ『てんぷら成生』には約束されているのだ。


▶このほか:ポン酢なしでも美味しいってすごい!「天然虎ふぐ」が味わえる銀座の名店へ

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