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  • 高嶺の花 Vol.2

    CAをデートに誘うならステイ中が狙い目!?28歳平凡男が、美女を落とした秘策とは

    高嶺の花


    「愛佳先生、先日はばったり会えたのに、急いでいて…失礼しました。まさか弟と同級生だったなんて。週末に朝陽と会って、先生が弟に教えてくれた『Oh my teeth』の矯正を僕も始めることにしました」

    「わあ、そうなんですね!『Oh my teeth』は、CA仲間もたくさん利用してるのよ。

    ほら、私たち不規則なシフトで定期的に歯医者に通うのが難しいでしょ。だから、矯正が始まってからは、通院しなくてもいいから続けやすいの。それに、LINEでいつでもドクターに相談できるのって安心よね」

    愛佳先生も嬉しそうに答えてくれる。授業が終わっているからか、『Oh my teeth』の良さを語るうちにタメ口になっている。嬉しい変化だ。僕は心の中でガッツポーズをした。

    『Oh my teeth』は彼女の言葉どおり、始めてみると僕のライフスタイルにこの上なくフィットしていた。これならば続けられる。鏡で口元の変化を見るのが楽しみだし、なんだか自信も湧いてくる気がした。

    ― もしかして僕が「2回目がない男」だったのは、自信のなさのせいだったのかもしれない。ああ、もっと早く始めていれば。

    そんな後悔が頭をもたげそうになったが、今はもうそんなことはどうでもいい。僕は改めて、マウスピース矯正の継続を誓ったのだった。



    2ヶ月後。今日は研修の最終日。

    マウスピース矯正を継続しているうちに、僕の気持ちもすっかり上向きになっていた。コロナ禍の自粛生活でいつの間にか内向きになっていたのだと実感する。

    乱れがちだった食生活にも気を使い、休会していたジムも再開した。そのおかげで、仕事の方も調子を取り戻しつつあった。

    視界は良好。

    もう、勝負に出るしかない。今日を逃したら、もう「高嶺の花の愛佳先生」に会うチャンスはないのだ。


    研修後、教室にお茶やスナックが並び、ささやかな懇親会が始まった。みんな愛佳先生の周りで談笑しているため、なかなか個人的に誘える雰囲気じゃない。

    僕は、他の仲間と一緒に愛佳先生の側を陣取り、来週の月曜日から大阪出張だという話などを仲間としながら、2人きりで話す機会をうかがう。

    愛佳先生は、送別の言葉を口にする生徒の一人ひとりに笑顔で対応しているので、もう30分も立ちっぱなしだ。授業からぶっ通しで話しているので、のどが渇いているかもしれない。

    そう思った僕は「先生、何か飲まれますか?」と話をふり、ドリンクコーナーに愛佳先生を連れ出すことに成功した。

    「陽太さん、気を使ってくれてありがとう!」

    「いえ、こちらこそです。愛佳先生の研修と『Oh my teeth』のおかげで、僕なんだかいろいろ吹っ切れて、いい調子なんです。…あの、それで、今度良かったら…きっかけをくださったお礼に食事でも」

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