Miss 東大生ハンター Vol.1

Miss 東大生ハンター:「優秀な遺伝子が欲しい!」エリート男を狙う、インカレ女の黒歴史

エリートと結婚して優秀な遺伝子を残したい。

そう願う婚活女子は多い。そのなかでも、日本が誇る最高学府にこだわる女がいた。

― 結婚相手は、最高でも東大。最低でも東大。

彼女の名は、竜崎桜子(26)。これは『ミス・東大生ハンター』と呼ばれる女の物語である。


26歳、不本意な別れ


「お姉ちゃん、どうしよ~。アプリで出会った東大農学部出身の人に、さっき振られちゃった…」

広尾ガーデンヒルズ・サウスヒルE棟の一室。デメルのクッキーをつまみながら、竜崎桜子が悔しそうにつぶやく。

「まだ、付き合って3ヶ月くらいじゃなかった?牛肉の流通経済を研究してて、お肉のうんちくがすごい彼でしょ?」

5歳年上の姉・百合子が、片眉を釣り上げながら尋ねる。

「そう。今は金融でクオンツやってて『仕事が忙しい』って理由なんだけどさ。付き合いだした時から忙しさは変わってないと思うんだよね…」

武蔵小杉の実家に住んでいる桜子は、時々こうして姉の家に来ては愚痴を聞いてもらっていた。

嘆く桜子とは対照的に、姉からは幸せオーラが出ている。米国公認会計士の資格を持ち監査法人で働いている百合子は、夫と3歳の息子とこの高級レジデンスで暮らしているのだ。

今日は久しぶりに彼氏とランチデートだったので、桜子は、おろしたての淡いピンクのワンピースを着てルンルンで出かけた。

ところが、席についた途端、別れ話をされたのだ。

「一体なにがダメだったんだろう。せっかく『銘柄牛肉ハンドブック2021』も買ったのに」

「毎度ながら、男の趣味に全力で合わせていく姿勢、さすがよね…」

感心したように百合子がつぶやく。

「そのガッツがあるんだから、東大卒へのこだわりさえなくせば、相手はすぐに見つかるよ」

失意の妹を気遣い、百合子はフォローを入れたが、逆効果だったようだ。

「東大卒で弁護士やってる旦那さんがいるお姉ちゃんには、言われたくないよ!」

「私の場合は、偶然で…。狙ったわけじゃないのよ」

百合子が慌てて弁明するも、桜子は聞く耳を持たない。

「とにかく、私は東大卒じゃなきゃイヤなの。最高の遺伝子を求めてるから!!」

桜子は、自分に言い聞かせるようにそう言うと、口をつぐんだ。

12歳の時の苦い記憶が、ふと頭に蘇ってきたのだ。

この記事へのコメント

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No Name
桜子の考え方とかこだわりが…😂
コメディとして読めばいいのかな。
2021/10/16 05:2995返信5件
No Name
魚介のアフタヌーンティーってどんなのですか?
2021/10/16 06:1879返信17件
No Name
親が東大だから遺伝子も優秀とは限らないし挫折する場合もあると思うけどね。
実家の近所に両親が東大卒の家庭、子供は中卒。
私立の受験に失敗して、公立で中学の途中から不登校になり、進学せず。そのままずっと仕事もせずに引き篭もり。
2021/10/16 05:3560返信4件
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