20代の若き大将の勢いがスゴイ!今から「鮨の行きつけ」候補になる新店3選

2.確かな握りに裏打ちされた〝まぐろ至上主義〟
『島津』

沼津産、一本釣りした天然本まぐろから取る「中トロ」。中トロの中でも筋が細く、口当たりの良い血合いギシのところを選んでいる


食通たちがこぞって最近気になる店としてあげるのが、白金・北里通りにひっそりと佇む隠れ家『島津』

ここでは、主役に位置付けるまぐろの品質に徹底的にこだわり、それに負けない握りの完成度に日々磨きをかけている。

同じく沼津の天然本まぐろの「大トロ」。大物の腹上一番のみから取れる“かました”の部位を握っている。口中でとろける脂の甘みに陶然となる。料理は全ておまかせコース(26,700円)から


「まぐろは江戸前鮨の華。鮨店の格は、やはりまぐろで決まると思っています」

キッパリとそう語るのは、島津千周さん。去年の11月、白金に誕生した『島津』の若き店主である。

その言葉を裏付けるように、まぐろへの思い入れは人一倍。自らが好む、きめ細やかで香りがあり、酸味の余韻の深いまぐろを仕入れるべく、毎朝豊洲市場に足を運んでいる。

その熱意に応えるのは、一流鮨職人御用達のまぐろ仲卸店『やま幸』だ。

「今日のまぐろは重さ約124kg、沼津の一本釣りです」

そう言いつつ取り出した腹上一番は、最高級のトロが取れる部位。だが、常備しているのはそれだけではない。

下田産本まぐろの「赤身」。こちらは、延縄漁で捕れた100kgサイズ。鉄分の旨みが濃い赤身でも、突出して美味しいと言われる背の部分だ


コースでは大トロ、中トロ、赤身と、それぞれ捕れた場所や日にち、大きさが異なる3種類が登場する。

というのも、部位や個体の大きさで、熟成する期間が変わってくるからだ。

島津さんいわく「旨みがピークになるタイミングまで熟成させている」そうで、前述の沼津のまぐろにしても、大トロや中トロなど脂の乗った部位は、食べ頃でも赤身はまだ早い。

それゆえ、赤身はより熟成期間の長い下田のまぐろにする、といったこだわりようだ。

物心ついた時には鮨職人を目指し、修業時代も日々研究を欠かさなかった島津さん。27歳とまだ若手ながら、今まさに習熟の時期を迎えようとしている。

若き鮨エリートの新店は、火がつく前に駆けつける!


脂が乗った銚子産大羽「イワシ」。

塩〆めにして酢にさっとくぐらせたイワシの下には、大葉、あさつき、生姜を忍ばせる。


つまみの「桜マスのお造り」。

定置網で捕れた北海道の桜マスは皮付きのまま藁焼きにし、大葉おろしでさっぱりと食べさせる。


天然木のカウンターにはガラスを張って、独特なテイストを演出。


― 島津千周さん[Age 27] ―

2012年
広尾『寿し処阿部』に入る。5年半の修業を通じて鮨の基礎を学ぶ

2017年
この頃は鮨の武者修行時代。高級店など様々な店で研修を経験

2018年
不動前のうどん店『らんまる』を人気鮨店へと転身させる

2020年
11月に独立して白金に『島津』を開業。早くもこのエリアの顔に

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