「恵比寿でどこ行く?」迷ったらココ!いつ誰と訪れても、絶対にハズさないモダンチャイニーズ

同店が誇るスペシャリテは、誰もが知っている中華の王道3品。

鯰江シェフならではのひと手間、ひと工夫を加えることで、何度食べても飽くことのない逸品に仕上げるのだ。

SPECIALTY 1「黒酢の酢豚」


白皿に威風堂々と鎮座するのは「黒豚の酢豚」2,500円。

鯰江シェフの修業先であった今はなき神泉『文琳』譲りの逸品だ。黒酢を使用した酢豚というのは今でこそどこでも見かけるが、オープン当時は斬新な組み合わせだった。

豚は口どけがよく、ヘルシーな「加藤ポーク」の肩ロースを使用する。潔く肉だけという見た目の豪快さに対して、思いのほかマイルドな味わいが特徴。

独特な風味を持つ黒酢は、中国の黒酢「鎮江香酢(ちんこうこうず)」と日本の米酢をブレンドしたもの。酢豚にありがちなツーンとくる酸味はなく、甘味とのバランスが絶妙だ。


「加藤ポーク」は、群馬県のブランド豚。オレイン酸を多く含む体に優しい豚肉だ。また31.1度という脂肪酸の融点の低さが、とろけるような柔らかさの秘密だとか。


数ある中国産の黒酢の中でも、鯰江シェフのお気に入りがこの「鎮江香酢」である。中国江蘇省鎮江市の特産品で、中国三大名酢のひとつ。熟成により生まれるアミノ酸の、濃厚な風味と香りが印象的。

SPECIALTY 2「フカヒレステーキ」


淡い黄金色の光沢を放つソースにどっしりと横たわるのは、ヨシキリザメの「フカヒレステーキ」時価。

それまでは煮込み料理が常套だったフカヒレを、姿のままステーキにして出すスタイルは、都内ではここが先駆けだろう。あえてステーキにした理由は「芳しさを加えたかったから」。

肉厚なフカヒレの繊維質に、ザクリと歯が入る食感の醍醐味はこの大きさならでは。尾ビレから背ビレまで余すところなく満喫できる。

また、丸鷄と豚赤身、金華ハムをふんだんに使用した上湯の芳醇な旨みが、フカヒレの持ち味をさらに引き立てている。


200gはあるヨシキリザメの特大フカヒレは、片栗粉をつけ、両面をこんがりとソテーしている。


老鶏2羽に、豚もも肉5kg、金華ハム300gを12時間かけて煮込む。それから鶏胸肉の挽肉を入れ、澄ませることでやっと仕上がるのがフカヒレに合わせる上湯スープだ。

スッキリした口当たりだが旨みは豊かで、余韻の深さも秀逸。この上湯のほか、白湯やXO醤といったソースも用意される。

SPECIALTY 3「担々麺」


本場四川スタイルの汁なし、そして冷製とバリエーションを用意する「担々麺」1,850円。

なかでも一番人気を誇るのが、こちらの冷やし担々麺である。鯰江シェフいわく「季節を問わずよく出ますね。冬でも頼まれる方は多い」そう。

味の決め手は、クリーミーさと辛さ、そして麺のバランス。ひと口すすると、胡麻の風味が口いっぱいに広がり、それから柔らかい挽肉の旨みと、豆板醤とラー油の刺激が現れる。

辛さ一辺倒ではなく、実に上品な味わいなのだ。芝麻醤をスープではなく水で伸ばす引き算的発想も、全体の輪郭をシャープに仕上げている。


風味豊かな自家製のラー油。炒って細かくした鷹の爪や、ミルにかけた香り高い朝天唐辛子と花椒を、煙が上がるまで熱した油に入れて作る。

「担々麺」以外のいろいろな料理にも使えるように、スパイス類はあまり多く加えずシンプルに仕上げているのがポイント。


スープの中でほのかな甘みを演出する白味噌は、米麹のナチュラルな甘さが特徴の「西京味噌」を使っている。

あの『虎峰』のスターシェフも卒業生!僕が『マサズキッチン』で学んだこと


珠玉の小皿中華でおなじみの六本木『虎峰』。鯰江シェフに大きな影響を受けたという同店の山本シェフに、『マサズキッチン』の魅力を聞いてみた。

山本 雅シェフ
1985年、和歌山県生まれ。大阪の中華店を経て『マサズキッチン』に入社。スーシェフを務めた後、31歳で『虎峰』のシェフに就任


Q.『マサズキッチン』に入ったきっかけを教えてください

「調理師学校を卒業後、大阪のスイスホテル南海大阪の中華料理店で修業していました。

東京への憧れもあり、噂を聞いて食べに行った『マサズキッチン』に衝撃を受けたんです。洗練された店内、オープンキッチンの臨場感、そして中華の枠を超えた料理の数々。

それまで学んできた保守的な中華とは一線を画す味わいに、こういう世界があるのかと感動しました」

すぐさま上京し、26歳で鯰江シェフに師事。5年間修業し、スーシェフも務めた。


Q.鯰江シェフのもとでの経験が、自分の料理にどのような影響を与えていますか?

「鯰江シェフの料理の特徴、それは“発想の転換”だと思います。

フレンチから和食、イタリアンまでジャンルを問わず食べ歩き、いいと思ったものはすぐ取り入れる。その姿勢を見習って、僕も暇を見つけてはレストランを訪れています」

紹興酒ではなく甘口と辛口のシェリー酒で仕込むことで、サッパリと仕上げた「酔っ払い蟹」や、冷製の茶碗蒸し風に仕立てた「皮蛋豆腐」など、この“発想の転換”から生まれた山本流料理は数多い。


Q.オープンから10年以上経った今も人気が衰えないのはなぜだと思いますか?

「変わらないようでいて、少しずつマイナーチェンジしていく姿勢にあるのではないでしょうか」

オープン当初からの名物を守り続けながら、「キャビア冷麺」のように比較的新しいヒットメニューを加えていくなど、常連を飽きさせない工夫もいろいろ。

「あとはやはり鯰江シェフの存在です。とにかくお客様をよく見ているんです。ただ料理が美味しいというだけではない、細やかなもてなしの心に多くのお客様が惹きつけられるんでしょう」

およそ30皿に及ぶ、独創的な小皿料理が次々と登場するカウンター中華の名店『虎峰』。変化自在のペアリングも人気。コースは13,000円~




訪れる度に新しい発見があり、感動を与えてくれる唯一無二の存在の『マサズキッチン』。

「恵比寿でどこ行く?」と迷ったときは、この店をチョイスすれば、大満足できること間違いないだろう。

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