溺れる男~理性と本能のあいだで~ Vol.2

「あのキスが忘れられない」結婚直前に別の女に心を奪われた男の"最低な本音"とは

「おやすみ」
「おやすみなさい」

タクシーの中で可奈子の唇にそっと触れる。彼女はただ目を瞑って僕の唇を静かに受け止めた。

可奈子とは、これ以上深い関係に進んだことはない。ディナーをし、タクシーで家に送り届ける。外泊したことなど一度もない。

彼女にとって、婚姻前の処女喪失は最も恥ずべきことだという。キリスト教についてはよくわからないのだが、僕は彼女の信仰を尊重している。

軽薄な女性たちにほとほと疲弊していた僕は、純粋な結晶のような可奈子に出会って結婚を強く意識した。

どんなに品良く取り繕っていても、お酒が入ると途端に軽くなる女性は多い。

あまりにも簡単に身体を許すため、そういう女性と遊んでも何の感動もない。食事会にくるような女性たちは、皆そのような傾向があるし、社内の女性だって抱いて欲しいとあちらから寄ってくる始末。

「体の相性が良い相手と結婚したほうが良い」という人もいる。

しかし、妊娠や出産を機にレスに陥ったという話はうんざりするほど聞いてきた。

どうせ結婚したって妻のみと一生やり続ける男などいないのだ。それであれば体の相性なんか気にせずに、妻適正の高い女性と結婚した方が良いに決まってる。

タクシーの中で煌々と輝く満月を見上げながらそんなことを考えていると、飲みたい気分になった僕はグランドハイアットに向かうことにした。


どうしようもない気分になった日は、『マデュロ』で一人飲みをして、夜風に当たりながらけやき坂を下って、実家のある元麻布まで歩いて帰ることにしているのだが、残念ながら今は営業休止になっている為、最近は『オークドア』に通っている。

席について周りを見渡すと、僕の心臓がドキっと大きく高鳴った。

「真珠…?」

強烈な引力で僕をこの場所に引き寄せたのは、満月の力ではなくあの女の力だったのかもしれない。

こんなタイミングで偶然会うなんて…
それでも僕はまだ、運命なんて信じない。


▶前回:婚約者が寝ている隣の部屋で…。理性的な男が思わず犯した過ち

▶NEXT:9月17日 木曜更新予定
運命の再会と思いきや、真珠の隣にいたのは一体誰…?

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※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

この記事へのコメント

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No Name
出会ったばかりの男と酒場でキスをするなんて軽い女とおもわれがちだが、真珠の場合はそうではないって…

そうだろ笑
2020/09/10 05:4699+返信3件
No Name
どんどん真珠に溺れて、破滅してしまえ‼️ 少しは痛い目見るのも勉強だよ😃

婚約者の可奈子が、本当に天使なのか、まだ分からないからね😏 裏の顔があるかもよ? 明子さんみたいに……。
2020/09/10 05:3084
No Name
溺れろ溺れろ〜🎉
理性が消失しかけた時に我に返れるってスゴい👏🏻👏🏻どんな展開になって行くのか、楽しみにしてます。
2020/09/10 05:2156
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