今さら聞けないワインの基礎知識 Vol.35

海外旅行気分を味わいたい!世界文化遺産とワイン名産地の関係を探ってみた。

その地のワインを飲みながら、バーチャルな世界遺産の旅


柳「ガルドン川に架かる古代ローマ時代の水道橋だね。この近くにはコスティエール・ド・ニームというワイン産地がある。赤、ロゼ、白があるけれど、圧倒的に赤が多くて、その次にロゼ。

シラー、ムールヴェードル、グルナッシュといったブドウ品種から造られた赤はスパイシーで、南仏特有のガリーグと呼ばれるハーブの香りも感じられる。羊の煮込みとクスクスに合わせるとぴったりだ。」

――あ〜、涎が止まりません。それにギリシャもいいですよね。アテナイのアクロポリス。

柳「パルテノン神殿のある丘ね。僕は2年前に行ってきた。」


――うらやましい〜。

柳「今はジョージアとされているけど、以前はギリシャこそワイン造り発祥の地と見なされていて、紀元前4500年にはワイン造りをしていたらしい。

オスマン・トルコの侵略でワイン文化は一時的に衰退したものの、キリスト教の修道院がギリシャ固有のブドウ品種を守り抜いた。

松ヤニで香り付けしたレツィーナというワインがよく知られているけど、ちょっと風味が独特だから、アテネからそれほど遠くないペロポネソス半島の赤ワイン、ネメアなんてどうだろう。

あるいはエーゲ海に浮かぶサントリーニ島のワインね。地品種のアシルティコから造られた白ワインはスーパーミネラリー。グリルした魚介類にばっちり。」

――あ〜、涎が、涎が〜。イタリアのポンペイの遺跡も行きたいですぅ。

柳「ヴェスヴィオ火山の噴火で火山灰に埋れてしまった古代都市。「ナポリを見てから死ね」のナポリ近郊にある遺跡だね。

白ワインのフィアーノ・ディ・アヴェッリーノや赤ワインのタウラージなど、カンパーニャ州には美味しいワインがたくさんあるよ。

あ、そうそう、これはその名もビアンコ・ポンペイアーノ、つまり「ポンペイの白」だ。ラベルもナポリの港とヴェスヴィオ山。」

――今年の夏はその土地のワインを飲みながら、バーチャルな世界遺産の旅で100くらい制覇してやります。

柳「ちょっと、安直すぎ!」

たとえば、こんな1本
「フェデリチャーネ ビアンコ・ポンペイアーノ」

ポンペイの周辺で造られるIGTワイン。地品種のファランギーナとコーダ・ディ・ヴォルペを用いた微発泡の白は、とてもフレッシュで爽やかな飲み心地。夏の昼下がりにワインだけを楽しむのもよし。もちろん、新鮮なシーフードとの相性もばっちり。

¥1,400/株式会社フードライナー TEL:078-858-2043


教えてくれたのは、柳 忠之さん



■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。
迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える。

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