SPECIAL TALK Vol.67

~ネガティブなマインドでは何も勝ち取れない。自分を信じ通すことが、勝負強さの鍵になる~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。

ゴルフの楽しさを知り、師匠になる夢ができた

金丸:古閑さんから引退の報告を聞いたとき、「あっさりしてるな」と思ったんですが、今の話を聞くと納得できます。でも、1日十何時間も練習していたのに、それがなくなると、一気に暇になるのでは?

古閑:困りましたよ! 睡眠時間と食事の時間をたしても10時間くらい。「あとの14時間、何したらいいんだろう」って本気で悩みました。だからマネージャーをやってもらっていた、学生時代の同級生に付き合ってもらって、エステや旅行、スポーツ観戦など、普通の女子が20歳から30歳くらいまでに経験するであろうことを一通りやりました。次の何かを探そうと。

金丸:持て余した時間の使い方すら、なんだかストイックですね(笑)。

古閑:でも「別に好きじゃないな」と思うと、もうやらなくなる。楽しいなと思えたのは唯一、観劇くらいですかね。2年半くらいふらふらしたあと、テレビ番組で久しぶりにゴルフをしたんですが、引退後にダイエットして筋肉を落としたので、頭のなかのイメージに体が全然ついてこなくて。要はすごい下手くそになっていました。

金丸:それは悔しかったでしょう。

古閑:逆ですよ。それがきっかけで、面白くなっちゃったんです。ちょっと練習したら感覚が戻ってきたし、当時みたいに一打に一喜一憂することもない。「あ、これがゴルフなんだ。楽しいな」と初めて思えました。

金丸:それは面白い。2017年にはプロゴルファーの小平 智さんとご結婚されました。最近ではアメリカでも活躍しはじめた、素晴らしい選手ですよね。

古閑:夫と知り合ったのは、ちょうど私がゴルフに興味が出始めたときです。

金丸:運命ってあるんですね。そのタイミングじゃなければ、わざわざプロゴルファーとは結婚しなかったでしょう?

古閑:知り合いの記者と食事をした際、たまたま一緒になったのが最初の出会いです。向こうが7歳も下ということもあって、それまで接点はまったくありませんでした。驚いたのが、夢をすごく熱く語るんですよ。「僕はタイガー・ウッズになりたくて、ゴルフを始めたんです」って。

金丸:ゴルフを勝負や仕事として捉えていた古閑さんとは真逆ですね。

古閑:そうです。いまだに食も趣味も考え方もすべて合わないけど、仲はいいんですよ。しかも、私にはない理論が彼にはある。そして、ひとつだけ話が合うのが、将来の夢です。子どもが欲しいという夢もあるのですが、子育てが一段落したあと、いつかふたりでゴルフのアカデミーを作ろうって。

金丸:古閑さんの根性と小平さんの理論。その両方を学べるって最高じゃないですか!

古閑:結構強い子が育つと思いますよ(笑)。清元先生は私と寝食をともにするくらい、24時間体制で見てくれました。それが師匠というものだと思います。いつか清元先生がしてくれたことを私も継承して、恩返しがしたいんです。夫も「自分が教えた子が優勝する喜びを味わってみたい」 というので、必ず実現させたいですね。

金丸:日本の教育は、国語・算数・理科・社会・英語の学力試験で人を評価しますが、そのレールに乗れる人ばかりではありません。要は、評価軸が狭すぎる。レールはもっとたくさん用意したほうがいい。芸術やスポーツなど様々な選択肢のなかから、子どもたち一人ひとりが自分の好きで得意なことを見つけ、先生はそのサポートに徹すればいいと思っています。

古閑:本当にそうですね。私はゴルフでメンタルを鍛えられました。それはゴルフでしか学べなかっただろうなと思います。

金丸:先程「ゴルフでは自分を責めてはいけない」という話がありました。でも日本って、ゴルフに限らず、反省するばかりじゃないですか。

古閑:反省も大事だけど、忘れてもいいかな、と思います。

金丸:そうなんです。未来につながる、次の挑戦に向けて準備するための反省だったらまだいいんですが、実際には、多くの人が反省して縮こまってしまう。

古閑:ゴルフもネガティブになったら、絶対勝てないんですよ。「うまくいかないから守りにいこう」では、守ることすらできない。攻めるときも守るときも、ポジティブとまではいかなくとも、失敗を引きずっていてはダメなんです。

金丸:逆転勝利を重ねた古閑さんですから、言葉の重みが違います。

古閑:私だって落ち込むときは落ち込みます。でも、私が落ち込んでいる間にも、誰かは練習している。ひょっとしたら、私と同じように落ち込みながらも練習しているかもしれない。だったら、何もやらないことが一番のネガティブだな、と私自身は思っていました。

金丸:そう考えて自身を奮い立たせてきたからこそ、プロとしての活躍があったんですね。そんな古閑さんがたくさんのプロを育て上げる将来が、今からとても待ち遠しいです。今日は本当にありがとうございました。

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