ホワイトデーに、他の女とデートに行った彼氏。男の見え透いた嘘への対処法とは？(3/4)[東京カレンダー

－俊：久しぶり！元気？－

大学時代の同級生・俊。就活中、同じ広告代理店を志望していたことから、毎日連絡を取るようになり気がつけばお互いを励まし合う存在になっていたが、どうしてか付き合うことなく、疎遠になっていた。

卒業以来、5年ぶりの連絡に友里恵は、胸がときめいた。

－友里恵：うん！元気だよ〜！－

そう返しながら、友里恵の頭をある考えがよぎった。

－そうだ、私も嘘をついてデートしてやろう。

◆

表参道から歩いて10分の『Bistro Plein』。

男友達と二人で夜に会うなんていつぶりだろうかと、歩きながら友里恵は何度も携帯のカメラを起動しては、化粧をチェックしていた。

北斗には大学の女友達と食事に行くと伝えている。

ーでも、バレたらどうしよう、もし目撃されたら？でも小さなビストロだし、お店集合だからきっとバレないはず。

店に向かって歩きながら、バレないための小細工や、バレた時の言い訳を考えながら、友里恵はその背徳感にドキドキしていた。

「変わらないね」

席に着くや否や、先についていた俊は顔を上げ、照れ臭そうにはにかむ。

「俊こそ、変わらないよ」

大学時代から何一つ変わらない、シュッとした顔立ちと柔らかい笑顔に、友里恵はドキっとした。慌てて目をそらした友里恵は、メニューに目をやる。

◆

気がつけば二人は顔を赤らめ、ほろ酔い気分でデザートのガトーショコラを食べていた。シェフがその日のインスピレーションで作るというデザート。友里恵の口の中いっぱいに濃厚なチョコレートの味が広がっていた。

「う〜ん、美味しい…」

思わず声を漏らす友里恵に、俊はニコニコと話しかける。

「ねぇ、あのとき、なんで俺ら付き合わなかったんだろうね？」

「うーん、タイミングかなぁ」

ガトーショコラの断面から溶け出すチョコレートを口に運びながら、何気ないように友里恵は答える。

「じゃあ、もし今タイミングが合わせられるってなったら、どうする？」

俊の問いかけで明らかになる友里恵の本心