ホワイトデーに、他の女とデートに行った彼氏。男の見え透いた嘘への対処法とは？(2/4)[東京カレンダー

向かいに座る男性の手元には、見覚えのあるTomwoodの指輪と、ルイ・ヴィトンのステッカーが貼られたiPhone。その男性は、紛れもなく、北斗だった。

まさか、そんなはずはないと思いながら何度も何度も、友里恵はその投稿を見返した。何かの間違いだと思いたい一心で、すぐさま北斗に連絡をする。

－友里恵：ねぇ、本当に友達の結婚祝い？－

既読がすぐについた画面を、友里恵は念を送りつけるような気持ちで睨みつけていた。

－北斗：うん！そうだよ－

北斗から来た返事に、胸をズドンと鈍く殴られたような感覚になった。女友達とご飯食べてる、の一言が来た方が、まだよかった。そう思いながら、友里恵はInstagramのスクショを送りつける。

－友里恵：これ、北斗だよね－

送った瞬間に既読がついたが、その日北斗から返事が来ることはなかった。

◆

－北斗：昨日はごめん－

北斗から一言だけの連絡が届いたのは、日曜の夕方になってからだった。

－友里恵：どうして嘘ついたの？－

－北斗：たまたま地元から先輩が東京に来てて、どうしても相談したいことがあるって言われて断れなくて、友里恵のこと不安にもさせたくなくて、つい... －

じゃあどうしてあんなデート向けのお店に行く必要があったの？どうしてランチにできなかったの？その先輩とはどんな関係なの？どうしてすぐに謝ってくれなかったの？

北斗から来た言い訳のような返事に、友里恵は次から次へと疑問が湧いてくるのを止められない。日頃の行いを見ているからこそ、北斗のことを信じられる自信がなかったのだ。

北斗の嘘は日常茶飯事で、旅行の時に「寝坊して飛行機に間に合わない」「パスポートを忘れた」など笑って許せるような嘘もあれば、「実家に帰る」と言っていた日に東京で男友達と遊んでいたことも過去にはある。

その反面、北斗はサプライズも好きで、3連休には旅行をこっそり計画し、プレゼントしてくれることも度々だった。

北斗の言葉を信じたいが、今までの言動を考えると信じられない。嘘をつく人とは付き合えないと思いながらも、もしかすると北斗の言い訳は本当かもしれない、と信じようともする。

友里恵の感情は、振り子のように揺れ続けていた。

－……やっぱり北斗のこと、信じられない。

友里恵の気持ちが、舵を切った瞬間だった。携帯の画面が光った。