恋のやめどき Vol.1

恋のやめどき:異性として意識できる男か、安心を与えてくれる男。2人の間で揺れる女の決断

夕方から続けている作業が4時間経っても終わる気がしなくなり、悠美がため息をついていると、後ろからこもったような低い声が聞こえてきた。

「行き詰まってますね〜」

振り返ると、赤城がニコニコしながら悠美の後ろに立っていた。

「悠美さん、サクッと夜ご飯でもどうですか」

「あ...はい」

あまりにも無邪気な笑顔を見せる赤城に、悠美は思わず頷いていた。

荷物を片付け、ドアを開けようとすると、赤城は自然に悠美の前に出てドアを開けた。その瞬間、ふわっと漂ったムスクの香りに、悠美は無意識のうちに目を閉じて思いっきり息を吸っていた。


「FUEGUIAの香水、いい匂いだよね」

悠美の表情を見逃さなかった赤城は、ふふっと笑いながら声をかける。

「すみません、いい匂いすぎて思わず...あ、変な意味とかじゃなくて、メンズの香水あまり嗅がないので、なんだか新鮮で」

何とか取り繕った後も、横を歩く赤城を、悠美はまじまじと見ながら観察した。

-そういえば幸人にも昔香水をあげたことがあったっけな。

ふと過去の誕生日に贈った香水すらつけなかった幸人を思い出し、落ち込んだ気持ちになっていると、赤城が首を傾げ、不思議そうに話しかけてくる。

「どうかした?」

「あ、いえ!なに食べますか?」

オフィスの受付横で立ち止まると、赤城は顎に手を当てて、ニヤリとしながら悠美を見る。

「そうだなぁ、僕の就任祝いってことで、お寿司とかどう?」

オフィスでは見せないような笑顔を浮かべる赤城に、悠美は釣られて笑っていた。

「あ〜楽しい」

笑いながら思わず出た自分の言葉で、悠美は久しぶりにその感情を抱いたことに気がついた。





『パティスリー ビヤンネートル』には、輝くような色とりどりのケーキが並ぶ。

スプーンを口に運ぶと、甘酸っぱいいちごのソルベが口いっぱいに広がり、悠美はうーん、と幸せそうに目を閉じて声を漏らした。

「で、赤城さんとどうなったの?」

結論を聞きたくてうずうずしている美波は、パフェの感想も聞かず悠美に質問した。

この記事へのコメント

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No Name
うーん、チームメンバーの女の子一人だけ特別扱いしてデートする31歳...
やめておこうか。
2020/03/08 05:1199+返信9件
No Name
またトキメキ君と安定君の話?
もう飽きたよ。

それにしても「前のめり」になる人が登場する率が高い。頬張る人は減ったけれど笑
2020/03/08 05:0999+返信8件
No Name
悠美は友達に完璧主義と言われているけど、そんな人が彼氏の家で昼まで寝過ごしてuber eats頼んで映画見てゴロゴロ?
2020/03/08 05:1491返信6件
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