「女として“真の勝ち組”とは・・・」高学歴・高収入の35歳女子が語る本音

やっと姉を超えたと思ったものの…


「私、今思えば、大学受験を皮切りに人生が変わったなって思うんです。もちろん、東大という学歴を手にしたこともそうですが、“できるお姉ちゃんの妹"だったのが、“私は私”ってやっと思えるようになったんです…」

自信をつけた花凛は、大学卒業後、外資系化粧品メーカーに就職した。

「姉は音大へ進んだんですが、卒業後、音楽家として生きていくのは難しかったようで。バイオリン講師をしながら、時折演奏会に出る生活をしていました。実家暮らしで、なんとかギリギリ生活できるレベルだったみたいです」

そして、花凛は入社してからも、どんどん成果を上げ、今ではプロジェクトリーダーを任されている。

しかし、最近、花凛にとって衝撃的な出来事があったという。

「会社は思った通りホワイトだったんですけど、私、納得するまで自分の仕事をやり切りたくて、自主的に夜遅くまで残っていることが多いんです」

そんな姿勢が、花凛を昇進させたわけなのだが、高い目標を自分で設定してしまうが故に、ストイックに仕事に向き合ってしまうようだ。

「ついこの前、いつも通り残業していたら、すごく仕事のできる男の先輩に“女なのによく頑張るな”って声を掛けられたんです。先輩としては褒め言葉だったみたいなんですけど…。

私その人のことを尊敬していたから、そんな言葉がその先輩から発せられたという事実がすごくショックで…」

今まで、努力は評価される対象だと信じて生きてきた花凛にとって、その発言の裏に「女は頑張らないもの」という、その先輩の価値観みたいなものが透けて見えた気がして、愕然としたそうだ。

また、こんなこともあったという。

「部下の男性に、“何か、バリキャリって感じがすごいっすね(笑)。このまま結婚しないつもりですか”って聞かれて。

露骨に独身であることを非難するような言葉じゃなかったんですけど、その空気感とか、ちょっとあざ笑うような言い方が、明らかに私をかわいそうな人と決めつけるような言い方だったんです」

花凛は、笑ってその場をやり過ごしたそうだが傷ついていた。

しかも気づくと姉は、どこで捕まえたのか国際弁護士と結婚し、現在は二人の子供を育てる優雅な専業主婦に。

一方花凛は、30歳を過ぎた頃から、両親と姉から、“いつまでそんなに働くのか”、“結婚はまだか”と言われるようになった。

「最近、姉は、得意気に結婚生活や育児の素晴らしさを語ってきます。姉を超えられたと思っていたら、いつのまにか、また立場が逆転していました。

“姉を超えてやる”という思いがきっかけで努力しはじめたんですけど、私、頑張り過ぎちゃったみたいで…」

そう言って、自虐的に笑った花凛は、哀しそうな目をしていた。

どんなに女性の活躍が叫ばれる時代になっても、適齢期の独身女性へ注がれる冷ややかな視線は、まだまだなくならない。

花凛の言葉は、不器用ながらも、愚直に努力してきた女性から発せられるSOSにも聞こえた。


▶Next:1月15日 水曜更新予定
老舗料亭の御曹司が手にした自由、その先に待ち受けていたものとは?

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