格差婚~僕の3倍稼ぐ妻~ Vol.2

「妻の収入をアテにする男と一緒にするな」夫のプライドを打ち砕いた禁句とは?

俺の価値って、なに?


最初こそ6人で和やかに会話をしていたが、パーティーが進むにつれて、女性陣が内輪の話で盛り上がり始めた。

夫たちは、ニコニコ笑いながら話を聞いている。ここは、ホストとしてどうにか場を盛り上げなくてはいけないと感じた康太は、「良かったらソファでお話しませんか」と、二人に声をかける。

すると二人とも、「そうですね、是非」と、飲み物を持って席を立った。


「康太さん、今日は何から何までありがとうございます」

里穂の夫がペコっと頭を下げると、彩子の夫もそれに続いた。

「とんでもないです」

康太が恐縮しながら言うと、今度は彩子の夫が口を開いた。

「彩子からいつも聞いています。康太さんは、玲さんのことを完璧にサポートしていてすごいって。あなたも、家事を教えてもらいなさいって」

康太は、褒められたはずだが、どういうわけか複雑な気分になった。

別に、自分は“専業主夫”ではない。玲ほど多忙ではないにしろ、仕事だってしている。それなのに、自分の評価ポイントは“妻のサポート業”なのかと。

すると、里穂の夫も「僕も、里穂に食べさせてもらっているようなものだから、もっと家事の能力上げないとなあ」と、彩子の夫に同調した。

康太は、同意することも否定することも出来ず、もやっとした気持ちになった。

確かに、このマンションといい、玲の収入のおかげで生活水準は格段にアップしている。

しかし、自分はそこそこの大企業で働いていて収入もあるのだ。別に、玲に食べさせてもらっているとは思っていない。

里穂の夫は、収入が妻頼り、彩子の夫は、彩子の実家に依存した生活だから、“妻様さま”という気持ちになるのは分かる。

しかし、自分はそうではない。極端なことを言えば、玲と離婚したところで、露頭に迷うことはないのだ。一緒にしないで欲しいという気持ちでいっぱいになる。

−ああ、早く終わらないかな。

次第に会話が苦痛になってきた康太は、「お茶でもいれましょうか」と、席を立った。

すると、すかさず二人とも「手伝いますよ!」と、立ち上がった。短い時間でも一人になりたかった康太は、少しばかり苛立ちを覚える。

男性陣がキッチンでお茶をいれて、女性陣が座って話に花を咲かせる。一昔前には考えられなかった構図だろう。

妊婦である里穂のことを考慮し、ルイボスティーをいれて持っていくと、「やっぱり、康太さんは気が利くね。玲、羨ましい!」と、彩子が感嘆の声をもらした。

玲も玲で、「こうちゃんには助けられてばかり。私、忙しくて家のことほとんどしないから」と、照れ臭そうに答えた。

褒められれば褒められるほど、康太の気分はどんどん落ち込んでいった。

自分は、つい最近も昇進の話が出たくらい、仕事も順調だ。周囲から頼られることも多く、上層部からの信頼も厚い。

それなのに。この場においては、自分の価値は“玲のサポート”や“主夫”にしかないように話されている。

−なんなんだよ!

プライドを傷つけられた康太は、わざと電話がかかってきたふりをして、パーティールームの外に出た。


▶︎Next:1月7日 火曜公開予定
仕事も家庭も頑張る康太に、会社から良い知らせが舞い込む。しかし玲に相談すると…。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

この記事へのコメント

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No Name
夫とよく相談し、夫も望んで、夫より稼ぐ妻になった者です。
結果、夫は卑屈になり、どうせ俺なんてを連発しています。家事は約束通りやらないし、子供たちをお願いする日は空気が悪い。
男なんてやっぱり女を下にみていたいのかと思ってしまう。
2019/12/31 06:5899+返信17件
No Name
ちいさい、ちいさい、ちっさすぎるっ!エクストラスモールな男だっ!!!
2019/12/31 05:2599+返信17件
No Name
ミスマッチですね。地方出身の派遣で何が何でも東京で結婚して主婦になりたいっていう女子と結婚したらいいのに。もしくは家事したくないなら外注すればいいよね。こんな男にならないように息子を教育しないと!
2019/12/31 05:3099+返信7件
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