「パートナーは欲しいけど…」結婚願望のない30代男を、その気にさせる唯一の方法(3/3)[東京カレンダー

「子供が欲しい」彼女の切実なお願いに対して、どう答える？

散々気持ちは続かないから結婚なんてしない方がいいと語った後に、敬太さんはつぶやいた。

「でも、好きな人とは一緒に過ごしたいとは思いますし、パートナーは必要ですけどね。結婚しなくても、大切な人に側にいて欲しい。…そういう意味で僕は、現実主義のロマンチストなのかもしれません」

そんな敬太さんには現在、彼女がいるとのこと。大学時代の同級生でずっと友達だったが、3年前から付き合い始めたそう。

「僕のこの偏屈な性格をわかっていて、彼女もバリバリ仕事しているので、てっきり結婚願望はないと思っていたのですが…。この間『子供がほしいと思っている』と切実な顔で言われて。『籍を入れなくていいから』とまで言ってきたんです」

大学の同級生ということは、敬太さんと同じ37歳だろうか。彼女が結婚して子供も産みたいと思うのはある意味当然かもしれない。その切実な願いに対して、どう答えたのだろうか。

「結婚しないで子供を作るって、さすがに無責任ですよね。海外とかならよくあるんですかね…。でも、日本だと色々ややこしいことになりそうだし。結局、それはできない、と言いましたよ」

「付き合う前に結婚願望がないと散々説明したのに…」と独り言のように言う。

そうは言っても、簡単に割り切れないのが人間というもの。彼女が「結婚できないなら別れる」と言ったらどうするのか尋ねた。

「うーん…。残念ですけど、別れますね。だって、彼女は僕と一緒にいたいというより、子供が欲しいわけでしょ？だったら、僕が相手じゃなくてもいいと思ってしまいます。

こう言うと必ず、賛否両論巻き起こりますけどね…。職業上、議論には慣れてますが。

僕が多数派じゃないってことは、自分でもわかっています。少数派もいるからこそ社会は成り立つので、僕は貴重な役割を担っていると思いたいですが…」

そう言って苦笑いする敬太さん。結婚について議論するとだいたい彼が勝つそう。そのくらい結婚は論理的に説明できない制度だと語る。

「そして理由はわからないけど、みんな結婚するのが普通だと思っているから問題なんです」

そんな敬太さんに万が一何かの間違いがあって、結婚することになるとしたらどういうときか尋ねた。

しばらく考え込んで「矛盾していますけど」と前置きをした後こう答えた。

「…子供が出来たときですかね。万が一の確率で子供が出来たら結婚するかな。やっぱり、そこは…」

敬太さんが結婚しない理由は、『結婚制度に合理性を感じないため』であった。

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