「婚活アプリやパーティーも試したが…」一橋大卒・好条件男が、結婚できない理由

頭脳派となったきっかけは、母を喜ばすため


もともと小さい頃は、勉強もスポーツも特別できるというわけではなかった。これといって得意分野があるわけでもなく、いたって普通の少年だった伸夫だが、あることがきっかけで勉強に目覚めたという。

「小学6年の時に父親が病死し、母が本当に落ち込んでしまったんです。僕ももちろん悲しみのどん底にいましたけど、唯一の家族となった母にまで塞ぎ込まれてしまったらたまったもんじゃない。おどけて見せたり、いつも以上に冗談をいってみたり、あれやこれやと母の機嫌を取ろうとしましたね」

伸夫としては辛い過去だったはずだが、そう言って淡々と当時の胸の内を語ってくれた。

「ある時、テストで100点を取って帰ったことがあったんです。そしたら母が何よりも喜んで、僕のことをこれでもかってくらい褒めてくれたんです。あー、こうすれば良いんだって学びました」

それから伸夫は、懸命に勉強し、ぐんぐん成績を伸ばしていった。そして市内で一番の都立高校へ進学し、その後一橋大学の経済学部に現役合格を果たす。母は親戚中に伸夫の快挙を報告してまわったそうだ。

「スポーツで得意なものはなかったし、そんなイケメンでもなかったけど、母の期待に応えたい一心で、勉強に打ち込み頭脳で勝負できるようになっていったように思います」

その後も伸夫はどんどん向上心が芽生え、「学ぶ」ということに喜びを見出した。数字に強かったことや論理的思考が得意だったことから、自分の能力を活かした仕事がしたいと、新卒でIT系の小規模なコンサルティング会社に入社した。

「大手企業からも内定をもらったんですけど、大企業の歯車になって思考停止してしまうことは避けたかったんです。無名でもいいから、自分の頭で考えて、しっかり成長できる環境に身を置きたかったんです。そういう意味で、とりあえず最初は、小規模なところで力をつけようと思って」

小さな会社でも、自分で考えた戦略でクライアントが売上を伸ばしていく様を目の当たりにしたときは、これまでにないやりがいを感じたという。そしてある程度自分の実力に自信が持てるようになると、もっと大規模な事業に関わりたいと、30歳の時に大手の外資系コンサルティン グ会社へ転職をし、いわゆるエリートの仲間入りを果たした。

「周りは忙しい中、食事会やらデートする時間を作っていたみたいですが、僕は転職してからも仕事ばかりで休みの日も仕事に関わる勉強をしていました。年収もうなぎのぼりだったし、自分の能力がどんどん上がっている感覚が快感だったんです。外資系だったら自分の実力次第ですし、新卒で小さなコンサルティング会社で働いた経験も活かすことができて、とてもやりがいがあります」

そして、気づいたらアラフォーと言われている年齢になっていた。

「母にも大分いい暮らしをさせられるようになりましたし、35歳を過ぎたくらいからようやく婚活を始めました」

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