「別居したい!」。夫の転勤で地方に移り住んだ夫婦に訪れた、結婚3年目の危機

高松での唯一の楽しみは・・・


仕事もなければ、気の合う友人もいない。どうしても東京と比べてしまい、出かけたいと思う場所もない。

とにかく暇を持て余していた皐月にとって、唯一救いとなってくれたのは料理だった。

「東京にいた頃は、亮介も私も夜の誘いも多く、家で食事をすることの方が少なかった。でも今は、亮介もほぼ毎日家で夜ごはんを食べるんです。

特に料理が好きなわけでもないんですが、とにかく時間があるから、色々凝りだしたら楽しくなってきて。スパイスを買ってきてオリジナルカレーを研究してみたり、亮介の誕生日には前菜からメインのスペアリブまで、フルコースを準備しました。彼がすごく喜んでくれるので、作りがいがあります」

皐月はスマホを取り出し、いくつか料理の写真をこちらに見せた。

特に亮介の誕生日に作ったというフルコースは、テーブルコーディネートも含めてまるでレストランのような出来栄えで、彼女自身も誇らしげである。

しかしそうやって笑顔を浮かべるも束の間、写真を見せ終えてしまうと、皐月は再び寂しげな表情で遠くを見つめる。

「ただ…いつまでこの生活が続くんだろうって、東京を恋しく思わない日はありません。亮介のことは好きだし、夫婦は一緒にいるべきだと思う。私自身も彼と一緒にいたいから付いて来た。けれど…やっぱり私だけ東京に戻ってもいいか、タイミングを見て相談しようかとも考えています」

結婚3年目、ついに訪れた夫の地方転勤。

最初からわかっていたこととはいえ、根っからのシティガールである皐月にとって、地方での生活という試練は想像以上に大きかったようだ。


▶NEXT:12月14日 土曜更新予定
妻から「別居したい」と言われてしまった夫・亮介を救った、ある出来事とは

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