【大ヒット御礼】煮沸 第二章 Vol.2

このアルバムを決して開くな。そこにある過去を知った者はやがて…必ず消えていく。

◆中学校


人に溢れた場所は、その時代の楽しさと引き換えに、やがて罪なき寂しさを引き受ける。


…ザザッ、ザザザザッ

グラウンドから芽を出す雑草が、潮風に揺れる。



ー 館山市立第四中学校。

かつて橋上恵一が、保護施設を出て、叔父の根本和明に扶養されていた時代に通っていた中学校。


その枯れた風景に吸い寄せられるように、痩身の男が、車から降り、グラウンドに近づく。


子供の気配を感じ取ろうとするように、男はすこし俯きながら目を閉じる。


…サッカーに興じる男子の叫び声。

…いつまでも帰らずに会話を楽しむ女子の笑い声。



ーなあ。



ーどんな気分だった?恵一。汚れていない子供たちの中に、ひとり異物が混ざっている気分は。


ーどうなる?そこで時間を過ごすと。


男は何かに気づいたように、素早く目を開く。





ー”より一層狂う…”




…ゴゴゴゴゴッ


もう一台の車がこちらを探るように近づき、停まる。


男が車に目をやると、ゆっくりと車のドアが開く。


「工藤さんですか?」.....

煮二章

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