「モテたくて、慶應に入りました」。山口から上京した男が、直面した厳しい現実とは

アプリが大金に変わることで起きた変化


「最初は東京に戻ってくるための手段でしかなかったんですけど、自分がつくるアプリが大金に変わっていくことが、めちゃくちゃ面白くなっちゃって」

海斗は、アプリ開発は自分の天職だと意気揚々と語る。

「しかもIT社長っていう肩書とお金があると、大学時代には見向きもされなかった美女だちが、ホイホイ寄ってくるようになったんですよ」

鼻息荒くしゃべり終えると、海斗は今日一番の得意気な顔をした。

仕事柄もあり、読者モデルやらインフルエンサーやらとの食事会が絶えないという。中にはプライベートで食事に行く間柄の女性も数人いるようだ。

ところで、アプリ開発の原動力となった友人たちとは、その後交流しているのか尋ねた。

「それが全然構ってくれなくて、めちゃくちゃ寂しいですよ。僕だけ急激にモテるようになっちゃったから、あいつらみんな僕に嫉妬しちゃってるみたいで…。

女の子とのやりとりとか見せたら、“お前、それ完全に金づるにされてるだけだぞ?”とか言ってきたりするんすよ。ひどくないすか?それから全然遊んでくれなくなっちゃって…。

男も嫉妬とかやっかみと無縁じゃないんだなって、初めて知りましたよ。でもまあ、悪い気はしないっていうか。あぁ、こいつらとはもう生きるステージが変わっちゃったんだなって。寂しい反面、ついに僕もライフステージが変わっちゃったかぁーっていう実感はありましたね。うん。」

一気にまくしたてるようにしゃべり終わった海斗に、その実際のやりとりを見せてもらった。

海斗:えりちゃん今日はありがとうね。また飲みに行こう!
Eri♡:はい、次はぜひ『三谷』に行きたいなあ~♡
海斗:予約してみるけど随分先になりそうだね。その前にも会おうよ、いつ空いてる?
Eri♡:(既読スルー)

海斗:今週末、食事会で4人くらい集められそうかな?
まい:かわいい子探してみますね^^
海斗:ありがとうー!
まい:女の子は全員タクシー代って頂けますよね?

なるほど、物事を楽観的に捉え前進する姿勢は、どんな場面でも変わらないようだ。ちなみに、その中から本気の恋愛に発展しそうな女性はいるのかと尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。

「まあ、今は品定め中ですかね。こっちが本気になっていないから皆もまだ躊躇してると思います」

地銀の行員からIT社長へと変貌を遂げた海斗。

かつて憧れていた美女たちと関わることができたが、本来の目的であった男友達たちとの友情は図らずとも手放してしまったようだ。

海斗が、その代償の大きさに気付くことはあるのだろうか。せめて、恋愛市場においても成功の階段を駆け上がる日が来ることを祈ってやまない。


▶Next:11月27日 水曜更新予定
元慶應の準ミスと婚約した男が登場。彼の憂鬱とは?

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