「博多への移住で人生が変わった」夫の転勤で仕事を辞めた32歳妻の、華麗なる転身とは

「知ってました?博多から韓国の釜山に、高速船が出てるの」

博多に引っ越したばかりの頃、まだ親しい友人もいなかった香澄さんは、博多港から釜山港を運行する船の存在を知って歓喜した。

学生時代からアシスタントをするほど、香澄さんは美容好き…いや、美容オタクと呼んでもいい。

特に韓国コスメが大好きで、東京に住んでいた頃も、仕事の合間に弾丸韓国に飛び、コスメショップ巡りを楽しんでいたのだ。

「高速船だと、博多から釜山まで片道3.5時間。料金も往復で3万円かかりません。しかも日帰りする場合はもっと安くなるの。これはもう、行くしかない。そんなわけで、一人で気軽に釜山に出かけるようになったんです」

ひとり釜山に出かけては、毎回新しい韓国コスメを見つけて購入する。

香澄さんは自身のインスタグラムアカウントで、釜山のグルメ情報や、購入した韓国コスメの使用感や効果などを投稿するようになった。

すると…。

「韓国コスメ情報を頻繁に発信するようになったら、とたんにフォロワーが増え始めたんです。東京で会社員をしていた時には1,000人もいなかったフォロワーが、気づいたら2万人近くなっていました」

さらには、東京の友人たちからも「同じの買ってきて欲しい」とか「買わせて欲しい」というコメントやDMが殺到した。

「それで、ふと思ったんです。釜山で仕入れてきた韓国コスメ、自分で売ればいいんじゃない!?って」

博多に来てからというもの、彼女は専業主婦だ。時間ならたっぷりある。

さっそくオンラインショップの準備をして釜山に出かけ、目星をつけておいた売れ筋コスメを仕入れてみることにした。

その仕入れの様子も、インスタライブ機能を使ってリアルタイムに配信。そうすることで、皆がどういうものに興味を示すか反応を見ることができるからだ。

仕入れた商品の宣伝も、もちろんインスタグラムで。

美容雑誌の編集部で働いていた時は考えもしなかったが、もともと情報を整理してまとめることは得意、化粧品に対する知識も興味も人一倍ある。香澄さんにとって韓国コスメのオンラインショップ経営は天職と言えるほどに向いていた。

「30代を超えると、女性って何に一番お金を使うかって、美容なんです。韓国は美容先進国。韓国コスメは、日本の化粧品よりパッケージも可愛かったり、コンセプトやキャッチコピーが斬新だったりしてつい欲しくなる要素がある。なかなか自由に旅行に行けない主婦層を中心に、どんどんリピーターを獲得することができました」

こうして香澄さんは、博多に移り住んで1年も経たぬうちに、専業主婦からネットショップを経営する女社長に、華麗なる転身を遂げたのだ。

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo