病める時も、ふくよかなる時も Vol.9

「お願い、信じて...」浮気の誤解を解こうとする妻に、夫がとった信じられない態度

―病める時も、健やかなる時も。これを愛し、これを敬い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?―

かつて揺るぎない言葉で永遠の愛を誓い、夫婦となった男女。

しかし…妻が“女”を怠けてしまった場合でも、そこに注がれる愛はあるのだろうか?

8kg太り、夫の誠司から夫婦生活を断られてしまった栗山美月は、誠司の無理解に悩まされながらもダイエットを決意。

パーソナルトレーナーの甲斐と出会い、本格的なダイエットをスタートさせるが、ダイエット料理の研究のため甲斐と食事をしているところを、誠司に目撃されてしまうのだった


「こんなところで何してるの?みいちゃん」

いつもなら美月の心を暖かくしてくれる、最愛の夫の声。

だが今は誠司のその穏やかな声が、美月の全身を驚きのあまり硬直させるのだった。

「誠司さん…どうしてここに?」

慌ててそう問いかける美月に対し、誠司は柔らかな態度を崩さぬまま答える。

「今日は仕事の会食って言ったでしょ?あっちの個室に、出版社の方たちがいるんだ。電話対応から戻る途中にカウンター席をみたら、家にいると思ってたみいちゃんが男の人と2人で食事してるんだから、びっくりしちゃったよ」

まさかの偶然に茫然自失とする美月だったが、誠司の言葉を聞いて我に返る。

―家にいると思ってたみいちゃんが、男の人と2人で食事してる…

美月がここにいるのはダイエット料理の勉強以外の何物でもないことは、確かな事実だ。

しかし誠司からすれば、自分の不在の間に妻が若い男性と食事に出ているなんて、決して気分の良いことではないだろう。浮気をしていると責め立てられても、おかしくはないのだ。

もし誤解があるなら、今すぐ払拭したい。そう感じた美月は、夫に甲斐を紹介するべくバタバタと椅子から立ち上がった。

「誠司さん、聞いて。ホラ私、最近渋谷でパーソナルトレーニングを受けてるって言ってたでしょ。彼がその、パーソナルトレーナーの甲斐くんなの。今日は急だから連絡しなかったんだけど、このお店にダイエットにピッタリなメニューがあるって甲斐くんが教えてくれて、それで…」

美月に促される形で、甲斐も椅子から立ち上がりお辞儀をする。懸命に今の状況を説明しようとする美月だったが、それに対する誠司の反応は意外なものだった。

【病める時も、ふくよかなる時も】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo