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  • 落ちない男 Vol.3

    「彼の好きな人って、まさか…」男の本音に気づいてしまった女の、秘めたる覚悟とは

    「私が本気を出して、落ちない男なんかいない」

    生まれながらの美貌とノリの良さで、数多の男性を虜にする恋多き女・木内愛理(26歳)。

    デートの誘いなら毎晩のようにある。イケメンも、財力ある男性もいる。しかしどの相手もピンとこない…。

    そんな愛理がある夜、運命的に出会った紳士・湊慎一郎に一目で恋をした

    そのことを幼馴染の優香に話すと、なんと湊と優香が知り合いだということが発覚。

    早速、湊をデートに誘う愛理だが、初デートは1軒目で終了。まるで手応えを感じることができなかった。


    彼の好きなタイプって…


    「優香。私、もうダメかも…」

    土曜のランチタイム。女性客やカップルで賑わう代官山のカフェで、愛理は体中から吐き出すようなため息をついた。

    「どうしたのよ。自信だけが取り柄の愛理なのに」

    プレートにたっぷり盛られたサラダを頬張りながら、愛理をからかう優香。誰に媚びることもない、さっぱりとした反応が実に彼女らしい。

    そんな優香は今日、オフだからと言って、ほぼノーメイクの状態で登場した。

    透き通るような美肌、血色の良い頬と唇が健康的で、むしろすっぴんの方が綺麗なんじゃないかと思うほどだ。

    「湊さんとのデート、微妙だったの…?」

    愛理がつい見惚れて黙り込んでしまうと、優香が再び心配そうな表情で尋ねた。

    「微妙っていうか…とにかく全然、手応えがなくて。多分、私に何の興味もないんだと思う」

    言いながら意気消沈したのか、どんどん声が小さくなる愛理を見て、優香は「うーん」と宙を見上げる。

    そして「百戦錬磨の愛理に私が色恋を語るのもおかしいけど」と前置きをしてから、こんなアドバイスをするのだった。

    「愛理はさ、気合が入りすぎてるのかもよ?愛理の本当の良さが伝わってないんじゃない?ほら、いま私に見せてるような、そのままの自然な愛理を、湊さんにも見せればいいのよ」

    −そのままの、私…?

    そんな風に言われても、愛理にはいまいちピンとこない。

    愛理にとって、男性の前で着飾ること、モテ女の振る舞いをすることは、もはや染み付いた癖のようなものなのだ。

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