狂気的なカノジョ Vol.6

「セカンドでもいいから...」出張中に婚約者がいる男にせまる、26歳女の略奪計画

―愛情か、それとも執着か?

幼い頃から、聖母マリアのような妻になりたいと願っていた、秋吉紗奈32歳。

しかし、彼女の運命の歯車は、航平からプロポーズを受け取ったときから狂いはじめる。

少しずつ蝕まれていく彼女の心。愛は時に凶器となり得る。

繰り返される心理戦、前代未聞の惨劇が今、はじまる。

♦これまでのあらすじ

会社の後輩・東航平(29)からプロポーズされ、幸せいっぱいの紗奈(32)。一方、以前から航平に想いを寄せていた今井美雪は、紗奈から婚約の事実を聞かされ動揺していた。しかし美雪は航平と共に出張に行き自分の想いを伝える


2月中旬の金曜日―。

鮮やかな赤や緑のネオンが光る、大阪・道頓堀の夜。午後から降り続けていた小雨は、今にも粉雪に変わろうとしていた。

美雪が航平と共に出張に来るのは今日で2度目だった。1度目の夜、勢いで美雪は彼に好意を告げたが、その日は最終の新幹線で東京に帰ることになった。

しかしそのことがあってから、航平の態度は確実に変わっているように思えた。最初はただの可愛がっている後輩に対する接し方だったのが、今ではどこか美雪を女性として意識しはじめたような視線を向けるようになっていた。

今日の出張では前回の商談先の会社に再び赴き、出資に関して正式な合意を取ることができた。今後の担当窓口は美雪になることもあり、美雪も同行することとなったのだ。

商談が終わったあと、2人は道頓堀のイタリアンに入りワインを頼んだ。

「乾杯」

小さな声でそう囁き合い、美雪は自分のグラスを航平のグラスに押し当てた。

店の窓から見える冬の道頓堀は凍るかと思えるほど寒々しいものだったが、2人で過ごすこの夜に胸は高鳴っていた。誰かに見られることを気にする必要がなく、邪魔される心配もしなくていい。

「今日の商談、うまくいってよかったですね。さすが東先輩だなって」

美雪の言葉に、航平も思わず笑みが零れそうになる。

「実は俺自身、最近いい流れができてるなって実感してるんだよね。今年はチームの売り上げも波に乗ってるから、今できることはやりきってしまいたいと思ってる」

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