オトナな男 Vol.8

「誰と浮気してるの・・・?」男がシャワーを浴びている隙に知った、辛い現実

女には少なからず人生に一度、“大人の男”に恋する瞬間がある。

特に20代前半、社会人になりたての頃。

だが場合によっては、その先にはとんでもない闇が待っている場合も…なくはないのだ。

◆これまでのあらすじ

圭太との関係を絶ちきれずにいた咲希。勇気を出して本当のことを聞き出そうとするが、圭太にあっさりとかわされてしまった

そんな中、大学時代の親友の晴香から突然の連絡が。付き合っていた彼氏に浮気され、別れたという。自分も大好きな先輩の浮気相手になっていることを自覚した咲希はついに夏休みを迎え、大阪に帰省することとなる。


―もう、会っちゃいけないのに……。

咲希は大阪に帰る荷物を持って、圭太との待ち合わせ場所の恵比寿駅へと向かっていた。

夏休みに大阪に帰る前に、圭太にランチに誘われていたのだ。

梨江子に対する罪悪感は日増しに強くなり、自分でもどうしていいか分からなくなっている。

「咲希ちゃん、おはよう」

待ち合わせ5分前に着いたのだが、今日は圭太が先に改札の前で待っていた。圭太の私服はもう見慣れたが、それでもやはり心が惹かれるのを感じる。

「お待たせしてすみません」

「全然大丈夫。咲希ちゃんに早く会いたくてさ」

圭太には梨江子という彼女がいる。

それは揺るぎない事実なのだが、圭太と話していると、その瞬間だけは圭太にとって世界に一人だけの存在になれるような気がした。

もしかしたら、圭太は昨日梨江子と別れたのではないかー。

そんな甘い妄想は、手を繋ぐ素振りも見せない圭太にかき消された。圭太の存在は咲希の気持ちを明るくする反面、心をぐしゃりとさせるのだった。

「咲希ちゃん、今日も可愛い」

ニッコリと微笑む圭太を見ていると、先ほどまであった胸の突っかかりはすっと消えていく。

しかしそれは、圭太と別れた瞬間にまたやって来て咲希を苦しめることを、もう知ってしまっている。それでも会っているうちはそのどす黒い気持ちからは解放されるため、咲希はまた圭太に会いに行ってしまう。

「美味しかったね」

圭太と咲希は『ビストロ アム』でランチをし、駅へと向かっていた。

「ご馳走様でした。あんな素敵なお店、はじめて行きました」

「そっかそっか。喜んでもらえて良かったよ。今日はこれから大阪に帰るんだよね。忙しい時にありがとう」

圭太はそっと咲希の髪を撫でながら言った。

「また夏休み明けね」

駅には多くの人がいたこともあり、圭太の別れはあっさりしたものだった。

咲希は改札に向かって歩き出そうとするがその瞬間、圭太と別れた後にいつも襲ってくる暗い気持ちを感じた。

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