病める時も、ふくよかなる時も Vol.8

「ここで、何してるの?」年下男と密会中の人妻を襲った、最悪の修羅場

―病める時も、健やかなる時も。これを愛し、これを敬い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?―

かつて揺るぎない言葉で永遠の愛を誓い、夫婦となった男女。

しかし…妻が“女”を怠けてしまった場合でも、そこに注がれる愛はあるのだろうか?

8kg太り、夫の誠司から夫婦生活を断られてしまった栗山美月は、誠司の無理解に悩まされながらもダイエットを決意。

無茶な食事制限が祟り、ボルダリングジムで倒れたことをきっかけに、パーソナルトレーナーの甲斐と出会い、本格的なダイエットをスタートさせた。

だがある日美月は、温和な甲斐が女性を怒鳴りつけるのを目撃してしまう。過去の秘密を共有することで、距離を縮めた二人。

すると突然甲斐は、美月に「浮気したいって思った事ある?」と迫った


右手から滴る水が、冷たい。

美月を見つめる甲斐の視線の熱さとは、まるで対照的だ。

鳴り響くEDMの中で、美月と甲斐の視線が絡み合う。2人の距離が徐々に近づこうとしたその時…美月はようやく口を開いた。

「あの…。何か拭くもの借してもらえます…?」

美月がそう発した途端、どんな女性でも一瞬で虜にできそうな甲斐の美しい顔が、拍子抜けしたように緩む。

そしてすぐに喉を鳴らしながら笑うと、傍らに畳まれていたスポーツタオルのひとつを取って美月に差し出した。

「すみません、美月さん。調子乗りました。どうぞ新しい水飲んでください」

そう言いながら甲斐は、新たにウォーターサーバーの水をコップに注ぎ、美月の目の前に置く。美月はそのコップの水を一気に飲み干すと、甲斐に向かってホッとしたように微笑んだ。

「甲斐くん綺麗な顔してるから、ちょっとドキドキしちゃった。こんな冗談、本当に引っかかる人もいるから気をつけたほうがいいよ」

そう言う美月の顔を、甲斐は覗き込むように伺う。

「でも、美月さんは引っかからないんですね。ご主人に、寂しい思いをさせられてても」

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