病める時も、ふくよかなる時も Vol.5

「今更奥さんとなんて、勘弁してよ」暴言に傷つく人妻を救った、若い男の行動とは

―病める時も、健やかなる時も。これを愛し、これを敬い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?―

かつて揺るぎない言葉で永遠の愛を誓い、夫婦となった男女。

しかし…妻が“女”を怠けてしまった場合でも、そこに注がれる愛はあるのだろうか?

結婚後に8kg太った栗山美月。 太っていたって愛されていると信じていたが、ついに夫の誠司から夫婦生活を断られてしまう

親友の桐乃にも呆れられた美月は、誠司の無理解に悩まされながらもダイエットを決意。

だが、無茶な食事制限のため仕事も失敗し、ボルダリングジムで倒れてしまうのだった


あたたかく逞しい腕が、崩れ落ちそうな体を抱き支える。

「あぶないよ」

男性インストラクターがそう言った途端、美月のすぐそばで、ドスン!という大きな落下音が聞こえた。

たった今美月がうずくまろうとしたその場所に、男性利用者が飛び降りてきたのだ。

「佐々木さん!飛び降りる時はもっと下に降りてからですよ!」

「へへ、甲斐くんゴメンゴメン」

男性インストラクターの名前は、どうやら甲斐というらしい。

甲斐が手を引いてくれなければ今ごろ美月は、勢いよく落ちてきた男性の下敷きとなっていただろう。

間一髪の状況に、今更ながらヒヤリとさせられる。だが、呆然と立ち尽くす美月に向かって甲斐は、色素の薄い目を心配そうに細めながら冷静に呟くのだった。

「とりあえず…体調悪いなら、座って休んだ方がいいっすよ」

そう言われてはじめて美月は、自分の体がまだ甲斐にもたれかかったままだったことに気がついた。

途端に、自分の肩に添えられた甲斐の腕のあたたかさが、リアルな感触を主張しだす。

「ごっ…ごめんなさい!!」

ゴツゴツと骨っぽい誠司とは全く違う、甲斐の引き締まった体。

我に返った美月は顔を真っ赤にしながら慌てて飛び退いたが、その瞬間、思いもよらなかった事態が美月を襲った。


ググ、ギュウ〜グルグルググゥ〜…


と、甲斐にも聞こえるくらいの大きな音量で、お腹の虫の音が鳴り響いたのだ。

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