東京男子図鑑 Vol.5

「年収3,000万以下とは結婚しない」エリート商社マンのプロポーズを断った美女の素性

短期ではありましたが、シンガポール駐在は僕の経験値をまたぐっと上げてくれました。

初の海外駐在で、仕事面で特筆すべき成果を残せたかというと…微妙なんですが(笑)、連日のように組み込まれる接待ゴルフのおかげで、ゴルフの腕は驚くほど上達しました。

調子が悪くなければ安定的に100を切るレベルになったので、これからは誰と回っても恥をかかずにすみそうです。

またシンガポール航空をはじめ、JALやANA、キャセイパシフィック航空などCAとのネットワークがかなり強化されましたね。…いや、別に自ら画策したわけじゃないですよ。

駐在しているとやたら声がかかるんです、CAとの食事会。

何人かフライトのたびに個別で会うようになった女の子もいましたが、正直なところみな実を超えるような女はいなくて…。

渡星してから、僕はみな実とまったく連絡を取っていませんでした。

当時はLINEもメッセンジャーもないし、わざわざSkypeを使ってするような話も、僕とみな実にはもうなかったから。

しかし「商社マンと結婚する気ない」なんて酷いことを言われたというのに、いや、そんなあるまじき屈辱を与えられたからこそ、僕の中でみな実が神格化されるような感覚があって。

みな実があっさり見限った“エリート商社マン”の肩書き。そんなものにつられて簡単に寄ってくる女を、どこか見下すようになってしまったんですよね。

僕もドMというか、屈折しているというか…。

とにかく駐在を終えて日本に戻ったら、ひとまわり大きくなった自分でもう一度みな実に会いに行くつもりでした。

28歳という適齢期を迎えてもなお「年収3,000万が最低ライン」とかふざけたことを言っていた女です。結局相手が見つからず、独身のまま売れ残っている可能性も大いにある。

その時こそが僕の出番に違いない、なんて願望じみた未来予想図を勝手に描いていました。

こうして客観的に語ってみると、僕もなかなか執念深い男ですね。

しかしそのくらい、みな実は僕にとって特別だった。どうしても手に入れたいと思わせる女でした。


ところが現実というのは、時に残酷なほどの試練を与えるものです。

2年間のシンガポール駐在を終え、久しぶりの東京に胸踊らせて日本に帰国した僕を待っていたのは…にわかに信じがたい事実でした。

まず、同じ部署の同期・コジマが、僕を差し置き課長代理に昇進していました。

そし......


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