マルサンの男 Vol.7

「彼、物足りなかったの…」たった2年で離婚を決めた夫婦。女が、他の男に走った本当の理由とは

男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。

だから愛するカレには、必ず元カノがいる。

あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。

愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのか――?

幸せな未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。

あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?

◆これまでのあらすじ

29才の南美は、6才年上の恋人・数也がプロポーズを考えていると知り、幸せの絶頂にいたが、それと同時に、これまで意識していなかった彼の2度の結婚歴がどうにも気になっていく

出張先のクアラルンプールにて、数也が2番目の妻・福原ほのかと密会した疑惑が深まる

南美は友人たちの協力のもと、数也の1番目の妻・竹中桜と会い、数也にはヒラキマホという浮気相手がいたことを知った。

そんな中、数也と交際2年記念のディナーを前に、南美は福原ほのかとランチすることになったが…。


「『俺、バツ2だけど、付き合ってくれないかな?』って言われたんです」

「ウソー。数也君がホントにそう言ったの?」

南美の前で、福原ほのかは明るく笑い飛ばす。

「アハハハ。数也君らしいなあ」

虎ノ門ヒルズ51階、『アンダーズ タヴァン ラウンジ&バー』の、ほのかが予約してくれた窓側の席。サングラスをしたくなるほどの眩しい陽光に包まれ、会話は弾んでいた。

「ほのかさんを前にして、こんなこと言うのも変なんですが…二度の離婚歴があっても気になりませんでした」

「そう言ってくれて、元妻としても、嬉しい」

ほのかはそう言うと、雲一つない今日の空のような、混じり気なしの笑顔を見せてくれる。

―あれ?

唐突に南美は我に返った。

―私、ほのかさんと仲良くなってる…!?



40分ほど前。先にこの店に着いたのは、南美だった。

愛するカレの2番目の元妻・福原ほのかとの初対面。

1番目の元妻・竹中桜のときの反省を生かし、服装、メイク、バッグ、ヒール…。すべてに気合を入れ、臨戦態勢を整えて、待ち合わせ時間の10分前には席についていた。

緊張と戦意が高まる中、待ち合わせ時間から少し遅れて到着した福原ほのかは、服装はざっくりとしたニットに、フレアスカート。足元は真っ白なスニーカー。メイクは眉毛を描いてリップを塗っただけ。

さすがのインフルエンサーだ。ブラウンのニットとキャメルのスカートのグラデーションにセンスを感じたが、一方で“戦意”はまったく感じなかった。拍子抜けするほどに普段着だ。

聞けば、ほのかは日本滞在時にはアンダーズホテルを定宿にしているらしく「ラフな格好で来ちゃって、ごめんなさい」と微笑んだ。

戦意どころか、嫌味すら感じない。

はじめましての挨拶をしてからメニューを開くと、ほのかは茶目っ気たっぷりに言った。

「このあと、お仕事あるけど…せっかくだから飲んじゃおっかな」

スパークリングワインで乾杯し、ランチコースの最初の一皿が届くころには、南美とほのかの会話はすっかり盛り上がっていた。

―こんなに話しやすい、気さくな女性はいない。

もちろん話題は数也のことだ。唯一の共通の知人が数也なのだから仕方がない。

気づけば南美は、ほのかに導かれ、数也との馴れ初めを語っていた。

良い女は導き上手、と聞いたことがあるが、まさに福原ほのかがそうだったのだ。

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