呪われた家 Vol.8

「何もかも忘れて、あなたに身を委ねたい…」婚約者と過ごす久しぶりの夜、女に掛けられた罠

結婚と同時に女に待ち受けるのは、“義実家”という呪縛。

奇妙な風習、監視の目、しきたり、そして義家族たちの薄笑い…。

夜な夜な響くその声は、幸せでいっぱいだったはずの新妻の心を蝕んでゆく。

◆これまでのあらすじ

看護師の岡林沙織(26)は、恋人の清川宗次郎(28)からプロポーズを受ける。

だが清川家のしきたりと、義姉の朝美による嫌がらせは沙織の心を追い詰めていく。婚約者の宗次郎は理解を示すものの、多忙のあまり頼ることはできず…。

そんなある日、夜な夜なバレエを踊る義母の千鶴子の正体を知る。結婚前、有名なバレリーナだったと聞き…


宗次郎は、沙織がはじめて心の底から愛した男性だ。

仲の良い姉妹で育ち、中学高校六年間を女子校。そして大学の看護科に進学し、看護師という女社会。男性との関わりは同年代より少なかったと思う。

何度か男性と付き合った経験はあるが、本気の恋というのはいまいちピンと来ていなかった。

だからこそ宗次郎への思いは、特別だった。

―私には、この人しかいない。

その宗次郎に対する気持ちは出会ったころから今になっても変わらない。離れたくない。別れるなんて考えたこともない。

ただ、沙織は追い詰められていた。

夜な夜な響くピアノの旋律。トウシューズで踊る、コツコツという物音。暗闇でぼんやりと浮かぶ真っ白な顔。血が滴るような赤い唇。はがれかけた付けまつげ。ドロドロに崩れ落ちたアイライナーが黒い涙のように流れ落ち…。

目を凝らした瞬間、おぞましい顔は急に目の前に現れ…

―逃ゲヨウトシテモ無駄ダ…

「きゃああ!!」

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!大丈夫?!」

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