2019.09.21
SPECIAL TALK Vol.60世界平和を学ぶために進学。味わった挫折と見えた光
金丸:ところで、石山さんは高校時代、エイベックスに所属されていたそうですね。
石山:はい。エイベックスのアカデミーに。
金丸:それはスカウトされたのですか? それとも自分で応募したんですか?
石山:高校1年生のときに自分で応募して、オーディションを受けたんです。
金丸:3歳からサンバをやっていたんだから、合格できるでしょうね。しかし、なぜまたオーディションを? そういう世界に憧れがあったんですか?
石山:マイケル・ジャクソンやジョン・レノンのような人になりたくて。
金丸:石山さん、さっきからスケールが大きいですね! ヒトラーが出てきたと思ったら、今度はマイケル・ジャクソンに、ジョン・レノン。
石山:頭のどこかでずっと世界平和のことを考えていて、社会問題に目を向けさせることのできるアーティストに憧れを抱いていたんです。いずれは歌やダンスを通じて世界平和を訴えるピース・メッセンジャーを目指していました。
金丸:でも、周りにそんな目標を持っている人はいなかったのでは?
石山:おっしゃるとおりです。浜崎あゆみさんになりたい子と、BoAちゃんになりたい子に囲まれて(笑)。「マイケル・ジャクソンになりたい」と私が言っても、全然わかってもらえない。ショービジネスについてまったく知らないまま飛び込んだので、「これは売れる」「これは売れない」と先生が話しているのを聞いて、「いや、私は戦争とか平和について表現をしたいんですけど」と言っても、やっぱり通じない。
金丸:それはそうでしょうね。視点が違いすぎる。
石山:あるとき、そのことを高校の担任の先生に相談しました。もともと大学に行くつもりはなかったのですが「まずは平和について学びなさい。日本で一番、平和研究が進んでいるのは国際基督教大学(ICU)だ」と教えてくれて、進学を決めました。
金丸:では、それがきっかけでICUに。なかなかの難関校ですが、やると決めたら突破力がすごいですね。
石山:当時の私は、戦争のような極限の状況であっても、人種や民族を超えて、誰かを思う気持ちや愛、良心といったものが発揮されると考えていました。そこから発展していって「人類が持ちうる唯一の可能性というのは、思いやりのような”良心“にあるんじゃないか」と。ただ、進学して、現実の平和研究や紛争解決、国際開発を学ぶにつれて落胆しました。結局、紛争解決や平和維持は、政治と経済のアプローチでしか解決できていないということがわかってきたからです。「あれ? 世界平和って無理なんじゃ……」と自信を失くしてしまいました。
金丸:でも、そこで黙っている石山さんじゃないでしょう?
石山:また旅に出ました。スケッチブックを持って、世界中の人たちに「あなたにとって平和とはなんですか?」と聞いて回る旅です。すると、途中からどんどん仲間ができて、彼らもまた各国で「平和とは?」と聞いて回ってくれて。
金丸:石山さんの行動が世界各地に波及したんですね。
石山:その活動を通じて、やっぱり良心や愛、大切な人を思う気持ちは世界共通なんだ、と確信しました。自分の良心をもとに他者を思う気持ちの輪を世界中に広げたら、きっと世界平和につながる。世界平和の唯一の解に違いない、と。
金丸:それは現在の石山さんの活動、特にCiftでの実践につながっているのではないですか?
石山:まさにそうですね。拡張家族という試みも、自分と他人の境界線をどう変えていくか、これまで他人ごとだったことをどうやって自分ごととして、家族のようなものとして捉えられるかという実験です。他人ごとを自分ごとに捉えるということが、世界の端から端まで実現できれば、それこそが世界平和なのではないか、と信じています。
震災後、大企業へ。社会の仕組みと矛盾を学ぶ
金丸:在学中の体験で、世界平和への道を見つけたものの、卒業後は就職したんですよね。
石山:はい。新卒でリクルートに入社しました。
金丸:リクルートを選んだのはなぜでしょう?
石山:もともと就職は諦めていたんです。というのも、大学3年生のときに東日本大震災が起こりました。当時、私はICUで知り合ったベルギー人とお付き合いしていて、震災のとき彼はベルギー大使館でインターン中でした。
金丸:大使館ということは、震災後、一時本国に帰還されたのでは?
石山:ヨーロッパの全大使館が引き揚げましたからね。そのとき、彼の家族が「原発がどうなるかわからないから、アンジュも家族を全員連れてベルギーに来なさい」と。結局、両親は日本に残りますが、震災3日後には、彼と一緒にベルギーに飛びました。
金丸:大学3年生の春休みというと、そろそろ就職活動が始まる時期ですよね。だから諦めた。
石山:はい。そもそも彼の家族は「日本は危ないから移住したほうがいい」という勢いでしたし、私自身、大きな決断をしたと思っていました。ただ、3ヵ月ほどたち一時帰国した際に、リクルートの方とお会いすることになり、気づけば面接を受けていました。面接では当時、リクルートの社長だった柏木 斉さんにお会いしました。
金丸:そこで柏木さんとどんな話をされたんですか?
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2024.03.21
Vol.114
~勝負の気持ちから感謝の気持ちに。青森の伝統を守り、盛り上げたい~
2024.02.21
Vol.113
~学問という知的な武器を子どもたちに。学びの体験をアップデートして日本を変える~
2024.01.19
Vol.112
~庭師として素晴らしい日本文化を守り、次の世代へと伝えていきたい~
2023.12.21
Vol.111
~いつだって新しい人に出会いたい。シンプルな好奇心が新たな交流を生んだ~
2023.11.21
Vol.110
~自分が飲みたい日本酒で世界に挑戦し、日本酒業界に革命を起こしたい~
2023.10.20
Vol.109
~世界で一番愛される字を書きたい。世界を舞台に活躍する書道家へ~
2023.09.21
Vol.108
~ピアノや音楽をもっと自由に、多くの人が慣習にとらわれず楽しんでほしい~
2023.08.21
Vol.107
~未曽有の事態に直面して生まれた医療の新しいカタチ~
2023.07.21
Vol.106
~日本における医療の弱みはウェルビーイングの浸透で改善できる~
2023.06.21
Vol.105
~現役復帰した今だからできることがある元オリンピアンとして伝えたいスポーツの力~
おすすめ記事
2019.08.21
SPECIAL TALK Vol.59
~“当たり前”に風穴を開けて、世の中を最適化し続けてきた~
2016.07.20
有名企業の役員も御用達! 接待を成功に導くレストラン5選
2023.07.19
ハラスメント探偵~通報編~
商社の花形部署に異動が決まり、喜んでいたのも束の間…。26歳男性がわずか数ヶ月で休職した理由
2023.04.08
後輩を誘って、恵比寿でランチ会ならここへ!「センスいい」と喜ばれる人気店4選
- PR
2024.03.27
海外セレブの間で「テキーラで乾杯」が流行中!お祝いの席にぴったりな、ラグジュアリーテキーラとは
- PR
2024.03.26
GWの予定はもう決めた?北海道&沖縄で絶大に支持されるリゾートホテル4選
2023.08.30
ハラスメント探偵~解決編~
オフィスに家族写真を飾っていたら“セクハラだ”と内部通報された男性社員。会社側のジャッジはいかに!?
2016.09.30
年末に向けてマスターしよう!これが接待を制するとっておきレストラン8選
2023.07.05
ハラスメント探偵~解決編~
「君にはパッションが足りない!」他の社員がいる中で、上司が大声で叱責。これってパワハラ?
2023.08.16
ハラスメント探偵~通報編~
会社の休憩室で、ある食べ物を食べていた29歳男性。突然、女性社員に叫ばれ、戦慄の事態に!
東京カレンダーショッピング
『秋田かまくらミート』:秋田を代表するブランド牛「秋田由利牛」!サシの美しい上質なしゃぶしゃぶ用サーロイン
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『パンツェロッティ』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"
『レザンファンギャテ』:しっとりと濃厚で、コクのあるニューヨークスタイルのチーズケーキ
『ル・ボヌール 芦屋』:しっとりサクサク!フリーズドライ苺にホワイトチョコをたっぷりと浸透させた新感覚スイーツ
ロングヒット記事
2024.03.18
「そういうとこ」で振られる男
「元カノと復縁できるかも」と喜ぶ34歳男。タイ料理店でデート中、彼女の表情が曇り…
2024.03.19
Editor's Choice~fashion~
感度の高いイマドキ女子から大人気!モネ“睡蓮の池に架かる橋”がフェイラーのキュートなハンカチに
- PR
2024.03.21
Editor's Choice~beauty & wellness~ 特別編
仕事もプライベートも充実している人ほど、〇〇投資している!?当たり前すぎて意外な生活習慣とは
2024.03.22
大人の週末ToDoリスト
長澤まさみ出演の映画や、バンクシーの展示…今週末いくべきイベント3選
2024.03.24
Editor's Choice~hotel~
シャンパンのフリーフローをテラスで堪能!渋谷の最新ホテルで叶う華やかな女子会