呪われた家 Vol.5

密室に閉じ込められた女。新妻を“軟禁”しようとした、義妹の真の目的とは

結婚と同時に女に待ち受けるのは、“義実家”という呪縛。

奇妙な風習、監視の目、しきたり、そして義家族たちの薄笑い…。

夜な夜な響くその声は、幸せでいっぱいだったはずの新妻の心を蝕んでゆく。

―逃ゲヨウトシテモ無駄ダ…

◆これまでのあらすじ

看護師の岡林沙織(26)は、恋人の清川宗次郎(28)からプロポーズを受け、1年の交際を経ていよいよ結婚することが決まった。

宗次郎の母親が病に倒れたということもあり、悩みながらも義実家での同居を決意した沙織。

数々のしきたりに不安を感じていたが、宗次郎と一緒に乗り越えることを決意する。ただ、肝心の結婚式の日取りを“占いで決める”と告げられ、困惑を隠せない沙織だった。


―なんか、息苦しい…。

まるで森のような鬱蒼とした木々に囲まれたこの家は、昼間でも薄暗い。天気も時間もわからない閉鎖的な空気に、沙織はなかなか馴染めずにいた。

同居を始めて数日が経つ。沙織はなるべく広い家や庭を散策することで、この家に慣れようとしていた。

直射日光が入らないのは、美術品にとっては理想の環境なのだと千鶴子は満足げに語っていた。

また、この家の家長である宗次郎の父の成一郎も、兄の耀一郎も神経質なタイプで、あまり外部との接触を好まない。

騒音など一切聞こえない隔離されたようなこの環境がとても落ち着くのだと言う。静寂に包まれたこの家に唯一響くのは、美しいピアノの旋律だ。

沙織はまるでその音楽に吸い寄せられるように廊下を進む。うっとりとピアノの音色に耳を傾けながら奥の部屋の前を通りかかると、ドアが少し開いていた。

そっと部屋を覗くと、瑠璃が体を柔らかく揺らしながらピアノを弾いていた。沙織はその横顔に目を奪われる。

長い黒髪と透き通るように白い肌。赤く艶やかな唇。ただでさえ美人なのに、ピアノを弾いている姿はこの世のものとは思えないほど神秘的な美しさを放っていた。

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