婚約破棄 Vol.8

「なんてみっともない男…」。女が一瞬で冷めた、男が家族の前で晒した醜態とは

女にとって、人生で最も幸せなときと言っても過言ではない、“プロポーズから結婚まで”の日々。

そんな最高潮のときに婚約者から「別れ」を切り出された女がいる。

―この婚約は、なかったことにしたい。全部白紙に戻そう。

澤村麻友、29歳。

夫婦の離婚とも、恋人同士の別れとも違う、「婚約解消」という悲劇。

書類の手続きもない関係なのに、家族を巻き込み、仕事を失い、その代償はあまりにも大きかった。

ーさっさと忘れて先に進む?それとも、とことん相手を懲らしめる?

絶望のどん底で、果たして麻友はどちらの選択をするのか?


なんと良輔の浮気相手は、麻友の後輩・三原愛だったということが発覚。

現実をようやく受け入れた麻友は、イケメン弁護士・吉岡の助けを借りて、両家交えての話し合いに向かうのだった。


「お父さん、お母さん。お願いです。頭を上げてください」

良輔の両親が、麻友の実家のリビングルームで、頭を床に擦り付けて謝罪している。

―二人は何も悪くないのに…。ご両親にこんなことまでさせるなんて…。

麻友は良輔の母親の肩を抱き、顔を上げるように促した。

今日ついに、弁護士・吉岡立会いのもと、両家の話し合いの場が設けられたのだ。

ここにたどり着くまで、ずいぶん時間がかかってしまったが、麻友はようやく現実と向き合うことができた。

良輔は逃げ回ってばかりだと心の中でずっと責めていたが、結局逃げていたのは麻友の方だったのかもしれない。

「婚約破棄の原因は自分にあるのだ」と自分を責めることで、真実から目をそらしていた。自分さえ改善すれば、復縁できるかもしれないと本気で思い込んでいたのだ。

だから周りから散々言われてきたにも関わらず、代理人を立てての話し合いや慰謝料の請求などはこれまで求めてこなかった。

「戻りたかったから」。「好きだったから」。誰に笑われようと叱られようと呆れられようと、それしか理由はない。でも、もうその気持ちはないことを、今この場で確信した。

良輔の母親は肩を震わせながら嗚咽を堪え、「私の育て方が悪かった」と何度も繰り返している。父親は、頭を床に擦りつけたまま謝り続けていた。

良輔は一人でふてくされたような顔で、ボソボソと謝罪とも言い訳ともつかないことを言っている。

その姿はただただみっともなく、麻友も呆れ返るしかなかった。

【婚約破棄】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo