32歳のシンデレラ Vol.10

「結局、2人きりになっちゃったね…」初デートの夜に発覚した、好きな男の女性関係

「その10年が人生を決める」とも言われる、20代。

大半は自分の理想や夢を追い、自分の欲に素直になって、その10年を駆け抜けていく。

しかし中には事情を抱え、20代でそれは叶わず、30代を迎える者もいる。

この物語の主人公・藤沢千尋は病に倒れた母のため、都会に憧れつつも地元の愛媛に残り20代を過ごす

しかし母が他界したことをきっかけに、30歳にして初上京。そのまま婚活デビューを果たすが、癖の強すぎる弁護士・春樹に掴まったり、若手にマウントをかけられたりと大苦戦…。

そんな中、再会した高校時代の先輩・良太からアプローチを受けるも彼が既婚者であることが発覚してしまう。

そして父の入院により愛媛に帰省した千尋は、もう一度今の生活を見つめ直し始めて…?


―私、本当に上京して正解だったのかな…。

東京へと飛び立つ飛行機の中で、千尋は小さくなっていく街をぼんやりと眺める。

久しぶりに帰った故郷は、以前となんら変わりなかったが、病室の父はそうではなかった。

2,3日後には退院できるくらいの病状だと聞き安心したものの、この数ヵ月間で、明らかに年をとっていたのだ。

「どうだ、東京は」

千尋はそう問いかけられて、返事につまった。報告できそうな話が何も思いつかない。

「友だちはできたか?」

婚活に精を出していた自分を思い返し、ふいに心が痛む。ごまかすように千尋は笑った。

「小学生じゃないんだから。大丈夫だよ」

そんなやりとりを思い返す。

―父を残して上京したのに。

毎日会社に行って、何となく婚活して…。本当に流されるように過ごして、これでいいのだろうか?

やがて、飛行機の窓から見える景色は雲で覆われ始めた。

ふいに千尋は思う。

―私、失った時間に縛られすぎている―?

どんな20代であったとしても、過去であることは変わりないのに。そのとき果たせなかったことにばかり目を向けていた気がした。

―今、31歳の自分が本当にやりたいことをやらないと…!

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