200億の女 Vol.9

「とろけるくらい、甘やかしてあげます」夫に不信感を持った妻に仕掛けられた、詐欺師からの甘い罠

騙されたのは女か、それとも男か?
「恋」に落ちたのか、それとも「罠」にはまったのか?

資産200億の“恋を知らない資産家の令嬢”と、それまでに10億を奪いながらも“一度も訴えられたことがない、詐欺師の男”。

そんな二人が出会い、動き出した運命の歯車。

200億を賭けて、男と女の欲望がむき出しになるマネーゲームはやがて、日本有数の大企業を揺るがす、大スキャンダルへと発展していく。

男の計画通り、令嬢はジワジワと追い詰められたように見えたが令嬢は簡単には騙されず…平穏な日々が戻るかに見えたが…令嬢のの裏切りが再び詐欺師にチャンスを与えてしまう。


「小川さん、あんた、松岡さん以外の女性からも…大金をもらってるんじゃないか?」

刑事である福島のその言葉に、小川親太郎は少し驚いた顔になった後、…嬉しそうに笑った。

「なんで、笑う?」

長身の男前に見下ろされながら笑われたことが、妙に癇に障り、福島の声には苛立ちがこもったが、小川は気にする様子はなく微笑んだまま言った。

「もらった、という表現ならそうですね。安くはない金額を、確かに数名の方から譲りうけています」

あっさりと自分の問いが肯定されたことに、福島は拍子抜けし、なぜ笑ったのかという質問は無視されたことを忘れて、また聞いた。

「何人から、いくらもらったんだよ。全員女か?」

「刑事さんは調べるのがお仕事なんですから、その気になれば僕の情報なんて簡単に手に入れられますよね?」

「…挑発か?」

からかうような小川の口調に、福島の苛立ちが怒りに変わった。街を歩けば職質されてしまうような強面のギョロリとしたその目が、小川を睨み上げる。

「まあ、挑発といえば、そうかも」

それなりの悪党でさえ脅える福島の睨み。それが小川には全く効かなかったどころか、その口調が急に砕けた。

「福島さんみたいに、感情をそのまま顔や言葉で表現できる人ばっかりじゃないんですよ。特に女性はね。世間体とか、常識とか…まあ、理由は様々ですけど、第三者的方向からかかってくるプレッシャーから身を守るために、自分の感情や欲望に蓋をする。

分かりやすく言うと、我慢という言葉が近いですが。そんな状態を続けているうちに、自分の本当に欲しいものがわからなくなる」

「…何が言いたい」

質問に全くリンクしない答えを続ける小川に福島が問うと、小川は、ほらまた、と嬉しそうに笑って続けた。

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