婚約破棄 Vol.4

「昨夜、私の身に一体何が…?」酔って記憶を無くした女の部屋に残されていた、男の忘れ物

女にとって、人生で最も幸せなときと言っても過言ではない、“プロポーズから結婚まで”の日々。

そんな最高潮のときに婚約者から「別れ」を切り出された女がいる。

―この婚約は、なかったことにしたい。全部白紙に戻そう。

澤村麻友、29歳。

夫婦の離婚とも、恋人同士の別れとも違う、「婚約解消」という悲劇。

書類の手続きもない関係なのに、家族を巻き込み、仕事を失い、その代償はあまりにも大きかった。

ーさっさと忘れて先に進む?それとも、とことん相手を懲らしめる?

絶望のどん底で、果たして麻友はどちらの選択をするのか?


突然の婚約破棄をされた麻友は、元の職場だった百貨店でアルバイトをすることになり、同僚たちにもついに真実を打ち明け、一歩を踏み出した。

しかし、会社の顧問弁護士・吉岡から衝撃的な一言を言われてしまったのだった。


激しい喉の渇きで目覚めたものの、思うように体が動かない。

頭が割れるように痛く、どうにか上半身を起こすと、激しい吐き気が襲ってきた。

今、一体何時なのだろう。

いつもならベッドサイドテーブルで充電器につないでいるはずのスマホも見当たらない。

麻友はよろよろと起き出して、ソファーに投げ出されたハンドバッグから充電の切れたスマホを取り出し、おぼつかない手つきで充電器につなぐ。そして大きくため息を吐いた。

酔いつぶれて寝てしまうなんて、麻友にとって初めてのことだ。再びベッドに倒れこむと、枕に顔をうずめた。

昨夜は、大失態をさらしてしまった。婚約破棄のカミングアウトに始まり、上司や同僚たちの前でまさかの涙。どうにか取り繕おうとごまかすためにお酒を煽り…。

残念ながら後半の記憶はまったくない。

―私、どうやって帰ってきたんだろう…。

ジャケットとストッキングは脱ぎ捨ててあるものの、ブラウスとスカートは履いたままだ。とにかく水でも飲もうと立ち上がった瞬間、何か見覚えのないものがが床に落ちていると気づく。

…ハンカチ?

麻友はしゃがみ込んで恐る恐る拾い上げる。明らかに自分の物ではない。それどころか、男性物だ。

「…え?どうして?なんでこんなものがうちにあるの?」

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