32歳のシンデレラ Vol.6

「君ってハイスペ狙い?」婚活パーティで出会った男との、拷問デートに耐える30歳女

「その10年が人生を決める」とも言われる、20代。

大半は自分の理想や夢を追い、自分の欲に素直になって、その10年を駆け抜けていく。

しかし中には事情を抱え、20代でそれは叶わず、30代を迎える者もいる。

この物語の主人公・藤沢千尋は病に倒れた母のため、都会に憧れつつも地元の愛媛に残り20代を過ごす

しかし母が他界したことをきっかけに、30歳からもう一度、上京を決意し、就職活動を始めることに

苦戦しつつも父の紹介もあって総合法律事務所に就職が決まり上京した千尋は、就職先で茉莉と出会ったことをきっかけに、婚活デビューを果たすのだった。


「はぁ!?なんなの、その男!」

婚活パーティで出会った男・神田春樹とのデートの報告をすると、茉莉がそう声を荒げた。話を聞いてもらっていた千尋の方が「まあ、落ち着いて」と逆になだめる形になる。

事の発端は、1週間前のことだった。

ホテルのラウンジで軽く1杯、ということになり、千尋は仕事終わり、待ち合わせ場所に指定された六本木の『The Bar』に向かう。

しかし高級感溢れる雰囲気にすっかりしり込みしてしまい、“外で待ち合わせて一緒に入りませんか”とLINEを送ってみたのだが……。ほんの数秒で既読がつき、送られてきたメッセージはこうだった。

“僕はもう中にいます、効率が悪いので中で会いましょう”

そのとき、ちょっと冷たい人だなと一瞬嫌な予感はしたものの、まだ久しぶりにデートに誘われた喜びが断然勝っていた。

―まあ、忙しい中時間つくってくれてるんだから…。

なにせ弁護士なのだ。忙しいことは勤務先の弁護士たちを見て十分知っている。気がかりなのは、そんなことよりも美人揃いだったあの婚活パーティーで、なぜ圧倒的に地味な自分を選んだのかということだ。

―人違いだったらどうしよう……。

そんな不安を胸に、千尋はなんとかラウンジにたどり着いたのだった。

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