東京ワーママ戦線 Vol.2

「夜のお誘いは無理…」東京で独身を謳歌していた女が、“母”として送る一通の苦悩LINE

ワーキングマザー。

それは働きながらも子育てをする母親の総称。

独身を謳歌するバリキャリ女子でもなければ、家で夫を待つ専業主婦でもない。

“母親”としてだけでなく、1人の働く女性としてキャリアを積みたい、と願う女性たちのことである。

だがそんな彼女たちに待ち受けるのは、試練ばかり。

青山の専門商社で働く翠は、産休を取得し念願の息子、颯太を出産するが、慣れない育児に疲弊していく

また医師から、颯太にアレルギー疾患があると告げられるが、夫の大樹と連絡が取れず茫然とするばかりだった。


「小麦アレルギーですか…。残念ながら、うちでは受け入れていません」

iPhone越しの男の言葉に、翠は大きくうなだれた。

―また断られた…。これで何軒目だろう…。

リビングのガラステーブルに置いているデカフェのコーヒーは、すっかり冷めきっている。

出産前、近くのスタバでまとめ買いしていたカフェインレスのコーヒー豆の消費が、最近激しい。これは全て東京に戻ってすぐに始めた、保活のせいだ。

もし全てダメだったらベビーシッターを雇うか、会社を辞めるしかない。ベビーシッターを雇えば翠の月収がすべて消えてしまうため、現実的ではなかった。

つまり保活は、絶対に負けられない戦いなのである。

翠は颯太を背負いながら区役所を訪問したが、アレルギー対応しているかは、各園に自ら電話で問い合わせて欲しい、と素っ気なく言われた。

30以上もある保育園に順番に電話する。考えるだけで気が遠くなったが、やるしかない。だが先ほどのように、あっさり断られることがほとんどだった。

ひとまず明日また他の園に問い合わせよう、そう気を取り直し翠はパソコンを閉じた。お腹が空いたのか、颯太がぐずり始めている。

ぐずる颯太にご飯を食べさせ、自分は慌ただしくキッチンで夕食をとったあと、急いでお風呂に入れ寝かしつけているとiPhoneが震えた。

―颯太の調子はどう?今日はちょっと遅くなるから夕飯大丈夫。

小麦アレルギーが発覚して以来、夫の大樹はマメに連絡をくれるようになったが、相変わらず仕事は忙しいようで帰りは遅い。

―うん、大丈夫。じゃあ先に寝てるね。

いつもなら大樹が遅く帰ってきても、翠は1回起きて今日あった出来事などを話していたが、この日はそんな気力も湧かず、何とかそれだけ返信すると颯太とともに泥のように眠りに落ちた。

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