初デートの待ち合わせで、女が冷めた男の行動とは

飯田の荒い運転にヒヤヒヤしながらたどり着いた『鳥おか』だったが、食事の席は意外にも和やかムードで始まったという。

「飯田さん、30歳で広告代理店から独立したらしいんです。若いうちから自分でビジネスをしているだけあって、話題も豊富で女性の扱いも手馴れていました。なので私もだんだん楽しくなって、荒すぎる運転で受けたダメージも少しずつ回復していたんです。でも、そんな矢先…。

彼、帰りはタクシーで帰るからって、一緒に赤ワインを飲んでいたんですけど、何度か追加した赤ワインのグラスが空になって〆の土鍋ごはんが登場した後に、彼が突然会話の流れを変えてきたんです。

『ちょっと企業名とかは言えないんだけど…今度ちょっと派手な仕事任されたんだよ。某大使館で開催されるレセプション。これが担当する商品なんだけど…ほら、これ。多分、千夏ちゃんも知ってるんじゃないかな』ってもったいぶってスマホを取り出して画面を見せてきたんです」

千夏としては、特に興味などないが、彼の勢いに圧され渋々スマホを覗き込んだという。

「するとそこにあったのは…誰もがよく知るハイブランドの新作香水の画像だったんです。これ、私なんかに見せていいの?企業名言えないと言いながら、完全にわかっちゃうし…!機密保持とかないのかなって。

飯田さんの言動に困惑しちゃいました。でも彼、何の悪びれもなくって満足げな顔で私をみていたんです。『俺って凄いだろ?』って感じで。だから私『凄い…さすがですね』って定型文のように返しました」

そして同時に心の中で、「ああ…私、この人無理」と呟いたという。

「とにかく女性に“凄いですね、素敵ですね”って褒めてもらわないとダメな男なんだなって…さっきも言いましたが、私、そういう男の人が心底苦手なんです」

先輩の顔を潰すわけにはいかないと、千夏は一生懸命に不快な感情を隠し、店を出るまでは微笑を顔に貼り付けその場をやり過ごした。

しかし二軒目の誘いはもちろん断り、そそくさと一人タクシーで帰宅したという。

「どんな高級車に乗っていようが、運転の荒い男を素敵だなんて思うわけない。どんなに大きな仕事をしていても、機密事項をお酒の席で女に漏らすなんてもってのほか…頭の悪い人じゃないんだから、そのくらいわかるはずじゃないですか?

それなのにこういう“勘違い自慢”をする男性の思考回路って一体…ただただ謎です」

自らの財力、経験、功績…それらをこれ見よがしにちらつかせ、賞賛の言葉を求める。男がついやってしまう、勘違い自慢。

しかしその行動は「モテ」に繋がるどころか完全に逆効果。女性の心を閉ざしてしまうことに、男たちは早く気づくべきである。


▶NEXT:7月30日 火曜更新予定
その自信はどこから?「俺の連絡待ってたよね」男

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