港区モード Vol.9

東京男の品格:“強欲な女”を懐柔した男の魅力とは?女心を掴み続ける秘訣


人生には、様々な選択肢が用意されている。

27歳の私は去年くらいまで、流行りのIT系企業で役員秘書をしながら、夜な夜な港区の食事会に顔を出す生活を送っていた。

芸能人や、有名な経営者たちとの食事会も、珍しいものではない。

星付きのレストラン、絶対にメディアでは紹介されない個室でのお鮨なんかも、たくさん経験させてもらったし、数万円はするワインやシャンパンも、これまでに何本飲んできたかわからない。

そんな生活は、“楽しい”なんて一言では言い表せないくらい、刺激的な日々だった。

でも、私の中にずっと違和感のようなものが漂っていたのも事実だった。

— このレストランも、お鮨もシャンパンも、自分のお金で思う存分楽しみたいなぁ ー

いつしか私は、強くそう思うようになっていたのだ。

役員秘書というと聞こえはいいけれど、その実態はただのお飾り秘書も同然。そのことに、言いようのない虚しさを覚えるようになっていた。

港区には、魅力的な男性が沢山存在するように、魅力的な女性も数多くいる。自立し、男性と対等に話をしているのに、愛嬌があって美しい。

だから、「私もお飾りなんかじゃなく、そうなりたい」と思うようになったのは、当然といえば当然のことなのかもしれない。

— 思いきり仕事をして、自分で稼いだお金で思いきり自分を贅沢させたい ー

こんなこと、普通の人に言ったらきっと鼻で笑われるだろう。身の程知らずの強欲な女、とバカにされたりするかもしれない。

でも、今日の彼の前でなら、すべてを正直に相談できると思えるのだから不思議だ。


私より5分ほど遅れて『レストラン ラリューム』にやって来た彼は、今夜も完璧な姿だった。

私がいるテーブルに着くなり、彼の前にはシャンパンが運ばれてきて、乾杯すると彼はいつものように優しいトーンの声で静かに話し始める。

多くを語るわけでもなく、美味しそうにお料理をいただきながら、彼は優しい表情で私の話を聞いてくれた。


どう見ても上質なスーツをさらりと着こなし、腕にはパテック フィリップが巻かれている。

その姿を見ていると、私は彼から、無言の内にこんなことを言われている気分になった。


『欲しいものは全て手に入れる。美食も、一流の時計も』


とてもシンプルで、力強いメッセージ。勝手な妄想かもしれないけれど、確かに彼は、そんなことを私に伝えようしてくれている気がしてならなかった。


人生には、欲しいものを躊躇しているヒマなんてない。
人生は、欲張った方が楽しい。


そんな声が聞こえた気がした、その瞬間。ずっと料理に夢中だった彼が、ふいに私の顔を見て温かな笑顔を向けてきた。

「ね、そうでしょう?」とでも言っているような笑顔に、思わず私も私もつられて笑顔になった。




—やっぱり、今日会えてよかったな。

デザートの前にお手洗いに立った私は、鏡に映る顔を見ながらそんなことをしみじみと考えていた。自分の表情が、2時間前よりも随分明るくなったと思えたからだ。

彼に会って、自分の思いを整理できたことで、今後の選択に勇気が持てたのは間違いない。

そんな、晴れやかな気分でテーブルに戻った時、私は彼の意外な表情を見てしまったのだ。

この記事へのコメント

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No Name
自立したい、自分の稼ぎで贅沢したい、って女性あんまり東カレに出て来ないから、なんか新鮮に感じた。。
2019/07/23 05:3767返信3件
No Name
500万円の時計かぁ😅😅一生モノの時計でもせいぜい100万円くらいまでかな、って考えてた自分はまだまだ甘いなぁ😅
2019/07/23 07:1330返信1件
No Name
ダーフナ法事モードON
2019/07/23 06:2214
もっと見る ( 25 件 )

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